堅実なもの作りで定評のある、沖データの製品デザインが変り始めている。国内外において強力なマーケティングを展開するため、S3(エスキューブ、※数字の3は三乗)、スマート、シンプル、ソリッドをキーワードにし、グローバルブランド構築に動き始めた沖データのブランド戦略について、グローバルブランド部長宮本努氏にその経緯とこれからについて聞いた。

グローバルブランド部長宮本努氏。プリンタ設計、ファックス事業、商品企画を担当。海外(アメリカニュージャージ)駐在暦20年。2003年よりグローバルブランドマネージャーとしてグローバルブランド統一プロジェクトチームを統括して現在に至る

沖データがグローバルブランドの統一ビジョン、ガイドラインについて検討をはじめたのは、2003年の8月のことだった。沖データの製品とブランドは、それまでアジア、ヨーロッパ、北米、それぞれの市場で評価され、確固たる地位を築いてきた。しかしグローバルという視点で見ると、そのブランド名とイメージが必ずしも統一されてはいなかった。グローバルブランドの力を背景に、国内外において強力なマーケティングを展開するためには、まず統一されたブランドのビジョンやイメージを構築する必要があるという結論に達した。そこで経営戦略室の宮本氏が中心となって、沖データのグローバルブランド戦略策定プロジェクトがスタートした。

以前発売されていたA4カラーページプリンタ「MICROLINE 5400」

同社がまず最初に手を付けたのは、グローバルブランドのビジョンを決定することだった。そしてブランドのビジョンを端的に表現するキーワードを設定した。ビジョンは「お客様の生産性向上寄与し、お客様事業の成功に貢献してゆくビジネス・プリンティング・スペシャリストとして認知される」こととし、ブランドの価値としてのキーワードは、フレキシビリティ(柔軟性)、コラボレーション(協調性)、クラリティ(明確性)、バイタリティの4つが選ばれた。

次に行ったのがケーススタディ。他社のブランドを研究しながら、一目でわかる特徴と差別化、すなわち沖データで長年培われたDNAをわかりやすく表現するにはどうしたらよいのかを検討した。その結果出てきたのが新しいロゴの制作だった。ロゴ制作に真っ先に手をつけた理由について宮本氏は次のように語る。

「沖データが変った、これから違う取組みをしていくんだ、ということをお客様に対して、あるいは内部に対して明確に示すのに最も効果的だったからです。それとパッケージ、カタログ、ウェブサイトなどすべてのブランドタッチポイントのデザインもさることながら、行き着くところは個々の製品とソリューションです。まず製品につけるロゴデザインを新しくしたいと考えました」

確かにロゴが変ると製品から受け取る印象も大きく変わる。OKIという文字をそのままに、いかにロゴを新しく、沖データの事業をわかりやすく見せるかをデザインのテーマにして、さまざまなパターンを検討。そして2004年10月、ついにでき上がったのが「OKI Printing Solutions」のロゴだった。

プリンタに新しく付けられた「OKI PRINTING SOLUTIONS」と書かれたロゴ