経済的な観点からは、現在のストレージ環境には問題がある。ユーザー企業のストレージ関連予算は徐々に削減される方向にあり、一方でストレージ容量の増加率は毎年60%以上に達するというデータもある。同時に、ストレージの全容量に対する利用率は、平均して30 - 40%程度だと言われている。
たとえば製造業で、調達した部品の30%しか利用しないという状況がそのまま放置されるだろうか。部品の利用率が30%に留まるようでは大問題であり、すぐに対処がなされるはずだ。これがストレージとなると、「IT部門の問題」であり、「IT部門はコストセンターである」という認識が一般的であり、いわば「大目に見てもらっている」状況だろう。
ストレージに格納されている情報の中には重複データも大量に存在している。これは、ストレージの正味の利用率を下げ、同時に容量増を引き起こすことになる。無駄な重複を排除し、手持ちのストレージを効率よく利用することで容量増に歯止めをかけることができれば、大幅なコスト削減効果が得られるはずだ。これは同時に、大量のストレージを稼働させるための電力や冷却設備の消費量削減にも繋がり、大きな問題になりつつあるITのエネルギー消費問題にも寄与することが期待できる。
これらはユーザー企業全体の観点から見た問題点だが、ストレージチームの視点で見ると、問題はさらに複雑化する。ストレージチームは多岐に渡る複雑な製品構成を管理する必要があるし、仮想化環境やレプリケーションなど、複雑な環境を管理していく必要がある。現在のシステム管理は、サーバ、データベース、ストレージなど、縦割りのサイロ状の組織で行われている点も不効率を生んでいる。また、運用管理に使用されているツールとして、今でも「Excelシート」が主流を占めているという話も聞く。環境に動的に対応できるダイナミックなツールが使われていないために、管理作業が煩雑で手間のかかるものになってしまっている。
さらに、ストレージチームが提供できる情報と、事業部や経営幹部が必要としている情報との間に大きなギャップがあることも問題だ。経営陣が見たいのは、事業運営の中でストレージのコストがどの程度になっているかであり、ストレージの運用データそのものに関心があるわけではない。しかし、こうしたレベルでの可視性は現時点では実現できていない。
7月に米国で開催されたカンファレンス「Symantec Vision」では、こうした問題の解決に向けて「Storage United(ストレージユナイテッド)」というコンセプトを打ち出した。これは、当社が全体的な視点から「データ保護」「ストレージ管理」「アーカイビング」といった技術に対応していくことを表明したものだ。そして、Storage Unitedコンセプトを具現化する製品として「Symantec Veritas NetBackup 6.5」(国内では9月11日から出荷開始)の発表も行った。CommandCentral 5.0は、NetBackup 6.5に続く2番目の製品として、Storage Unitedを具現化する製品として発表されたものだ。