知らない者は探さない、でも見つかる仕組み

Charles Babbageのピクチャーは、写真ではなく肖像画だ。Wikipediaによると、Babbageは19世紀を生きた科学者で、コンピュータの起源とも言える「Difference engine (=階差機関、差動歯車計算機)」を考案した人物だ。

当時、彼の当初の設計どおりの機械は完成しなかったが、1991年ロンドン科学博物館によって本来の設計に基づいた「Difference engine」が19世紀当時の技術で製造され、問題なく動作することが確認されたという。コンピュータの歴史というとIBM以降をつい考えがちだが、その前史は実は思った以上に長いのだ。

始めに述べたように、Spockでは各人物に付けられたタグをもとに、"関連性"で人物を見つけることができる。上記のように自分の知らない人物の事はどんな検索エンジンを使ったところで検索しようもないが、知りたいキーワードについて関連する人物が挙げられれば、探していなかった情報に出会える可能性は高い。

ここ最近、入力された検索語に対して関連する語を提案する「連想検索」と言われるサービスが増えている。連想検索エンジン「reflexa」や、図書検索システムの「Webcat Plus」、富士フイルムが実証実験を行っている画像検索エンジン「TRIPIT」などがそれだ。例えばreflexaで「マイクロソフト」を検索すると、通常の検索結果と共にMS-DOS、Xbox、ブラウザ戦争など関連すると判断された語が提示される。

Spockはそれらの連想検索に似ているとも言えるが、異なるのは関連語を類推するアルゴリズムではなく、ユーザーの力によって関連付けが作られている点だ。人物専門の検索サイトというカテゴライズ自体も興味深いが、いわゆるWeb2.0で言われるところの「集合知」的なサイトでありながら、その情報源の多くがここに来た個人により入力されたものであるが故に独自の価値を生み出している点も、Spockの大きな魅力になっていると言えるだろう。