昨年9月14日、中国インターネットセンター(CNNIC)と、有名なネットワークアナリストの呂伯望氏が同時に「中国インターネット検索エンジン市場レポート」を発表した。
データに一部異同はあるが、それでも2つのレポートの結論は驚くほど一致していた。要するに、過去1年間に谷歌から流出したコアユーザーが、ほぼすべて百度に流れ込んだというのだ。
CNNICレポートによると、百度と谷歌は中国検索市場でのシェアがそれぞれ62.1%と25.3%。2005年時点ではそれぞれ52%と33%だったという。呂伯望バージョンのレポートでも百度と谷歌のシェアはそれぞれ64.5%と20.6%で、谷歌はその年20%の中堅ユーザーを失ったが、そのうちの80%が百度へ流れたとしている。
中国の業界筋は、種々のデータに基づき、谷歌が「中国の風土に合わない」主な原因を以下の6点にまとめている。
- これがもっとも本質的なことであろうが、検索における「満足度」に関わる問題。中国語の理解において、谷歌は中国地場の検索エンジンに劣るとされる。
- google.comで検索をおこなう時、しばしば「このページは表示できない」というメッセージに悩まされる。しかも、その表示があってから十数分間も正常に谷歌と接続できなくなることがあるという。
- 先述した販売ルート問題。谷歌はルート面では主にM&Aでルートを拡大してきたが、この運営方式が中国式の広告マーチャンダイジングに適応できない一因となっている。 4.不正なサイトへのアクセスを防止する対策が、中国の国情に合わない。谷歌は過去一年、不正サイト対策を強化してきたが、一度に1,000あまりのサイトを閉鎖、多くのサイトの運営責任者の反感を買ってしまった。
- 個人のプライバシーにかかわる問題。毎日2億人のユーザーが谷歌の検索サービスを利用しているが、その大半は米国本土以外にいる。谷歌の個人データ収集行為は、中国でも「個人データの時限爆弾」として警戒されつつある。
- 中国語名称「谷歌」をめぐる問題。一部のネチズンは、自発的に「谷歌」に反対するサイトまで立ち上げている。Googleの中国での影響力を、長期的に危うくする可能性すら秘めている。
Googleは、中国に上陸して以来、一貫して攻めの姿勢を取ってきた。巨資を惜しまず訴訟も恐れず、Microsoftから李開復氏を引き抜いた。昨年4月には、中国語バージョンの「谷歌」を立ち上げた。
エージェントの管理問題、人材不足、ブランド管理と保護をめぐる問題など、今のところ中国でGoogleをめぐる難題は尽きないが、要は内部管理と基本戦略をどうするかにかかっている。その他の多国籍ネット企業の動向とあわせ、中国におけるGoogleからは当分目を離せそうにない。