米Adobeのチーフソフトウェアアーキテクトで、プラットフォームビジネス部門シニアバイスプレジデントのKevin Lynch氏 |
またBenioff氏の基調講演の後半では米Adobeのチーフソフトウェアアーキテクトで、プラットフォームビジネス部門シニアバイスプレジデントのKevin Lynch氏が登壇し、Adobeが現在開発を進めている「Apollo」についてのデモストレーションを行った。Apolloは、従来までWebブラウザや開発ツール上でしか実行できなかったFlash/Flexベースのアプリケーションを一般的なOS上でネイティブ動作させるための仕組みで、Apollo Runtimeが導入されているOSであれば、WindowsやMac、Linuxなどプラットフォームを意識せずにネイティブアプリケーションとしてFlashを実行できる。
WebブラウザなしでもFlash/FlexやHTMLを用いて作られたアプリケーションをネイティブOS上で走らせることができる「Apollo」。グラフやカレンダー、スケジュールなど、ビジネスアプリケーション構築に便利な基本部品が用意されている。従来のHTML技術だけでは難しい、よりインタラクティブ性の高いアプリケーション構築が可能だ |
Apolloのメリットのひとつは、Webブラウザで実現されている機種非依存(正確には完全に非依存ではないが)のアプリケーション実行環境をネイティブアプリケーションの世界まで持ち込める点だ。またFlashベースなため、通常のHTMLベースのWebアプリケーションに比べ、ビジュアルや操作面での引きが強い。Apolloの話とは若干異なるが、米Kailea Networks CTOのMarlin Scott氏は壇上のデモでSalesforceのアプリケーションとFlexを組み合わせ、ビジュアル面と操作面で通常よりも使いやすく、見栄えのするサンプルを紹介している。このデモには、先日Salesforce.comとAdobeが発表したばかりのFlex Toolkitが使用されており、より表現の幅が広がったことが強調されている。
Benioff氏は「Apolloのメリットはその見栄えだけでなく、インタラクティブ性をより高める点にあると私は考えている。これがやがて携帯やスマートフォンといったデバイスにも搭載されるようになれば、表現力がより豊かになるだろう」と期待を寄せる。
だがApolloのデモストレーションで見られた一番興味深いトピックがオフラインモードの存在だ。通常、Webアプリケーションはインターネットに接続されていることが前提で、オフラインの状態ではデータの参照はおろか、基本的な動作さえままならない。だがApolloを組み合わせることでオフライン状態での動作をサポートし、主にモバイルユーザーがビジネスアプリケーションやバックエンドのデータベースを出先で利用するための強力な手段となると考えられる。