スピーチの後、O'Reilly氏がBezos氏にインタビューする時間が設けられた。キーノートで取り上げられたWebサービス事業に関する質問がほとんどだったが、面白かったのは質問がAlexaholicに及んだ時だ。

Alexaholicは、Amazon傘下のAlexaのデータを情報としてわかりやすく表示するWebサービスを提供していた。ところが、Amazonが同社の権利を侵害しているとクレーム。AlexaholicはStatsaholicと改名したが、訴訟を含む両者の対立は今も続いている。

キーノート後にO'Reilly氏がBezos氏をインタビュー

Bezos氏はAlexaholic (Statsaholic)問題について、名称、そしてAPIが公開されていないAlexaのデータを利用するのは侵害行為であると説明した。一方のO'Reilly氏は、従来のスタイルで知的財産や商標の保護を訴えるBezos氏に失望している様子。

(1) Statsaholicはユーザーにとって便利なサービスである、(2) Google MapsのAPIが公開されていない頃に、データが利用されてもGoogleが看過したことがマッシュアップの浸透につながった、などを理由に和解を勧めていたが、両者の考え方の相違は埋まらなかった。

小規模だった頃のWeb 2.0イベントならば、O'Reilly氏の考えが圧倒的に支持されただろう。だが、10,000人クラスのWeb 2.0 Expoではどうだろう。Bezos氏の説明に対してブーイングが起こるんじゃないかと思ったが、会場は落ち着いていた。もしかするとBezos氏と同じ視点の人の方が多かったのかもしれない。

カンファレンス期間中、様々なところでアンケート調査への協力が求められたが、Alexaholic (Statsaholic)についても「Bezos氏とO'Reilly氏のどちらの考え方を支持するか?」というアンケートを実施してほしかった。データの公開や共有という考えは、ケースによっては侵害と見なされる。この見方の違いが様々なところで問題を引き起こしているだけに、徹底した議論が求められるところだ。