GoogleのJim Holden氏(左)とVodafoneのDaniel Appelquist氏 |
今年1月の「International Consumer Electronics Show(CES)」でモバイル向け検索サービス「Yahoo! Go for Mobile 2.0」を初披露したYahoo!、3GSMでは同サービスのガンマ版を発表した。同アプリケーションはFlickrほかさまざまなモバイルアプリをパッケージにしたもので、検索エンジンは「oneSearch」となる。
特徴は、膨大な量の検索結果を並べるのではなく、ニュース、地図などのカテゴリに絞り、それぞれ2~5項目程度を表示する点。これにより、まずはユーザーが全体図を把握できるようにしたこと。Yahoo!のオーディエンス部門コネクテッドライフグループ、執行副社長のMarco Boerries氏は、「ユーザーのエクスペリエンスを大幅に改善した」と自信を見せる。Yahoo!は社としてモバイルにフォーカスする戦略で、Yahoo! Goを機に、さまざまなサービスを展開するようだ。
Google、さらにはMicrosoftの対抗策が気になるところだが、同社でグローバルワイヤレス戦略パートナーシップディレクターを務めるJim Holden氏は、「モバイル分野はすばらしいチャンスだ」と意気込みを見せる。同社は英国にモバイル専門研究開発拠点を立ち上げており、今後戦略やサービスを明らかにしていくことだろう。
このように、さまざまな企業が狙っているモバイルサーチ市場だが、モバイル特有の事情もある。現在のモバイルは真の意味で中立とはいえず、オペレータの主導権が強く現れている。オペレータ各社はポータルを提供しており、多くのユーザーにとってここがデータ通信やモバイルインターネットの入り口となっている。
Yahoo!のMarco Boerries氏 |
そこで、Yahoo!とGoogleが共通してとっている戦略がパートナー戦略だ。たとえばGoogleはKDDIと提携しているし、先日はVodafoneとの提携も明らかにした。Yahoo!はNokiaと提携している。また、モバイル専業のJumpTapなどは、オペレータにホワイトレーベルで検索エンジンを提供、オペレータは自社ポータルサービスに合わせてブランディングした検索エンジンをユーザーに提供できる。
このような状況について、VodafoneのAppelquist氏は、オペレータ中心の閉鎖的な環境を認めつつ、「オペレータにとって検索は付加価値を提供するものであり、戦略的に重要」と語った。オペレータの強みは、ユーザー情報を把握していること。これを生かして、コンテンツプロバイダとともにより関連性のある検索などを提供できる可能性があるとも言う。「ユーザーはいろいろなアプリケーションを試してみたい、使いたいと思っており、(オペレータとしては)ユーザーに選択肢を提供することが大切」とAppelquist氏が語っていることから、Vodafoneの場合、当面は提携とホワイトレーベルでの提供など、複数の検索エンジンオプションの提供を続ける方針のようだ。
モバイル端末向けにコンテンツを発行するソリューションを提供する米Roundpointの会長兼CEO、Trevor Shonfeld氏は、「モバイルインターネットは、PCと同様、イノベーションのプラットフォームとなる」と述べ、モバイルの世界でMySpaceやYouTubeなどのヒットが生まれることに期待を寄せる。Shonfeld氏は触れなかったが、そのためには閉鎖的なモバイル業界が変わる必要もあるかもしれない。