では、G-Tune EP-Zの内部やスペックについて詳しく見ていこう。CPUは第10世代Coreプロセッサーで8コア16スレッドの「Core i7-10700K」を、ビデオカードは最新Ampereアーキテクチャーを採用したフラッグシップGPU「GeForce RTX 3080」を採用している。もっとコア数の多いCPUも存在するのは確かだが、今のPCゲームでは8コア16スレッドのCPUは価格性能比のスイートスポットに位置する。Core i7-10700Kはパワーが高い分、発熱量も多いCPUだが、AIO水冷ユニットで強烈に冷やされるため、昨今のCPU負荷の高いゲームを動かしてもCPU温度は全く問題ない。

  • サイドパネルは、上部のハンドルのロックを押して倒すだけで、簡単に開く設計になっている

  • 内部。CPUの熱はAIO水冷で最上部のラジエーターに送られ、右側面から外部に放出される。RTX 3080カードは一般的に巨大だが、ケースの大きさと比較するとまるでミドルレンジクラスのような錯覚を覚える

  • 動作時はこんな感じでファンが赤色に点灯する。これはマウスコンピューターのこだわりで、ゲーミングPCのケーブルを黒に統一することで、赤いLEDファンがより際立たせているという。ちなみに標準構成のファンは光らない仕様となっている

  • CPUのAIO水冷クーラーはPCパーツショップでは普通お目にかかれない、クイックリリースの付いたG-Tuneオリジナル。RTX 3080カードはロゴからわかる通りMSI製のものが使われていた
    ※ビデオカードのメーカーは購入時期によって異なる可能性があります

  • ビデオカードはMSI製「GeForce RTX 3080 Ventus 3X 10G OC」と同じ設計のカードだが、若干ブーストクロックを落としたモデルが採用されている
    ※ビデオカードのメーカーは購入時期によって異なる可能性があります

  • 「CPU-Z」でCPU「Core i7-10700K」の情報を拾ってみた。8コア16スレッド、全コアブースト時4.7GHzで動作する。PCゲームにはちょうど良いスペックだ

  • 搭載メモリはDDR4-2666の16GBモジュールが2枚。Core i7-10700KはDDR4-2933まで対応できるが、コストを落とすために1段スペックを落としたと推測される

  • 「GPU-Z」でビデオカードの情報をチェックした。ブーストクロックが1710MHzになっているので、市販されているMSI製「GeForce RTX 3080 Ventus 3X 10G OC」(ブースト1740MHz)の低クロック版といえる

  • RTX 3080カードのパワーリミットの上限は320Wだった

ストレージは、OSとアプリケーション(C:ドライブ)が1TBのNVMe M.2 SSD、そのほかのデータ保存やバックアップ用に2TBのSSDが組み込まれていた。特にSSDの容量はコストダウンのために500GBクラスを採用するPCも多い。しかし、今や1本250GB近く消費するゲームもあることを考えれば、1TB標準は安心して使える仕様といえるだろう。さらに、前面にはDVDスーパーマルチドライブも搭載されており、ユーザーの使い勝手を狭めない配慮も行き届いている。欲をいえば、DVDスーパーマルチではなくBDドライブに交換するBTOオプションも欲しかったところだ。ただ、外付けであれば9800円でBTOも可能なので欲しい方はカスタマイズすることをおすすめする。

  • SSDは高速なNVMe M.2 SSDの1TBモジュールが標準搭載。動作時の発熱はマザー付属のM.2シールドで冷やす仕掛けだ

  • 本体右側面のパネルを開くとHDDと光学ドライブにアクセスできる。これらはバックアップやデータ保存用として活躍するだろう

  • 「CrystalDiskInfo」でSSDの情報をチェックした。型番からADATA製の「XPG SX6000 Pro」シリーズであることがわかる

  • 同様にHDDの情報をチェック。こちらはごく普通のSATA接続のHDDだ

最後に電源ユニットのチョイスについて語っておきたい。今回の試用機はサイドパネルがスモークの強化ガラスになっていたり、ケースファン類がLEDで光る仕様になっていたりするが、これはほとんど性能に影響しない(サイドパネルは標準構成のスチールのほうが若干通気性が良い)。ただ今回の試用機で注意したいのは、電源ユニットが800W(80PLUS TITANIUM)から1200W(80PLUS GOLD)に変更されている点だ。筆者もさまざまなシステムでRTX 3080をテストしてきたが、RTX 3080単体で平均320W、瞬間最大では360W近くまで電力を消費するため、運用するには電源ユニットの出力や安定性がキモとなる。ただ、Core i7-10700KクラスのCPUであれば、標準構成の800Wで十分余裕を持って運用することができる。

試用機で「OCCT Pro」のPower Supplyテストを行って、CPUもGPUも限界まで回してみた。そのときのシステム全体の消費電力は、最初の1分足らず(Core i7-10700KのTurbo Time Parameter:Tauの限界)では620W台前半、その後(Core i7-10700Kのブーストが落ちたあと)で515~535Wなので、800W電源でも全く問題なく養うことができる。ただ電源出力の余裕は心の余裕という考え方も理解できるので、よりヘビーに長期間使いたければ、1200W電源のBTOオプションを選ぶことをオススメしたい。差額は7,800円と非常にリーズナブルなのも◎だ。

  • 「OCCT Pro v7.0.2」のPower Supplyテストを実行し、そのときのCPUとGPUの消費電力(内部センサーによる報告値)を見ると、CPUの消費電力は開始直後数十秒間だけ200W近くに達するが、その後は125W(Core i7-10700KのTDPと同じ値)に落ち着く。RTX 3080は最大350W近くまで増えることもある

  • CPUを「Power Supply」テストでフルロードにしても、最初の数十秒間は最大83℃で頭打ちになり、その後は70℃前後で安定する。GPUも70℃だから、冷却性能は大したものだ