では内部に目を向けてみよう。

前述の通りCPUは通常電圧版で6コア12スレッドのCore i7-9750H。1世代前のm-Book K690シリーズがCore i7-8750Hだったので、CPUの世代が1つ新しく、Coffee Lake→Coffee Lake Refreshとなったと考えればいい。

インテルの最新モバイルCPUでいうと、すでに第10世代Ice LakeのCPUを載せた製品が登場しているが、Ice LakeはUプロセッサ系の後継モデルであるため、最大4コア8スレッドモデルまでしか存在しない。15.6インチボディーに格納できてパワーのあるCPUは、今のところCoffee Lake Refresh世代が最善の選択なのだ。

あと非常に評価できるのがメモリの搭載量で、標準で16GB、最大32GBまで搭載できる。ただ32GBまで搭載する場合は、標準の16GB(8GB×2)を捨てる必要があるのは残念だが、購入時に32GBへカスタマイズも可能なので、必要な場合はそちらも検討してみるとよいだろう。

  • 「CPU-Z」で搭載CPUの情報を拾ってみた。6コア12スレッド、最大4.5HGz動作のCore i7-9750Hを採用している

    「CPU-Z」で搭載CPUの情報を拾ってみた。6コア12スレッド、最大4.5HGz動作のCore i7-9750Hを採用している

  • メモリは標準で8GB×2の16GB構成なので、不足する心配はあまりない。DDR4-2400とやや遅めだが、GPUも別途搭載しているのでさほど気にならない

    メモリは標準で8GB×2の16GB構成なので、不足する心配はあまりない。DDR4-2400と標準的だが、GPUも別途搭載しているのでさほど気にならない

GPUは、CPU内蔵のUHD グラフィックス 630と、別途搭載されたGeForce MX250を状況によって切り替える設計となっている。ゲーミング寄りのノートだとGTX 1650や1050などを搭載しているものもあるが、本機の場合は価格を優先してMX250を選択しているようだ。重量級のゲームを高画質で楽しむには不向きだが、「Fortnite」や「Rainbow Six Siege」といった軽めのゲームを"画質を抑えて"楽しめるパワーは持っている。本機のターゲットユーザーであろうRAW現像や動画編集をやりたいユーザーにとっても、プレビュー速度向上などの恩恵が見込めるだろう。

  • 「GPU-Z」による内蔵GPUの情報。GPUの設計としては現行のRTX 20シリーズの1つ前、Pascal世代のものを使っている。性能を絞ったGPUであるため、CPUとの接続はPCI-Express x4である点にも注目だ

    「GPU-Z」による内蔵GPUの情報。GPUの設計としては現行のRTX 20シリーズの1つ前、Pascal世代のものを使っている。性能を絞ったGPUであるため、CPUとの接続はPCI-Express x4に抑えられている

ストレージは1TBのHDDがデータ用に、256GBのSSDがOS起動用に用意されている。起動の軽快さとデータの保持能力のバランスをうまくとった構成といえるだろう。しかもSSDはNVMe接続であるため、読み書き性能はSATAのSSDよりずっと高速(後ほど検証する)だが、試用機ではPCI-Express Gen3 x4ではなく、PCI-Express Gen3 x2接続だ。SSDのコストを抑えつつ容量を最大化したうえでの判断と考えられるが、x4にしたところでファイルのコピー速度が速くなる程度なので、いい判断ではないだろうか。

  • 「CrystalDiskInfo」による内蔵SSDの情報。搭載されているWD製の「SN520」がPCI-Express Gen3 x2接続であるため、対応転送モードの欄がx2になっている

    「CrystalDiskInfo」による内蔵SSDの情報。試用機に搭載されているWD製の「SN520」がPCI-Express Gen3 x2接続であるため、対応転送モードの欄がx2になっている

  • 同じくHDDの情報。こちらはSeagate製の5400回転タイプのものが使われていた

    同じくHDDの情報。こちらはSeagate製の5400回転タイプのものが使われていた

ワイヤレス系装備は802.11ac(今風にいえばWi-Fi 5)+Bluetooth 5対応の「Intel Wireless-AC 9462」を搭載。ただ9462の仕様上、リンク速度は433Mbpsが上限となるため、無線LANで高画質な動画を見たい人には向かない。動画を見たりオンラインゲームをするならギガビット有線LANのほうを使うようにしよう。

また、先日よりカスタマイズで「Wi-Fi 6 AX200」も選択可能になったので、高画質な動画を見る機会が多い方はチェックしておこう。

  • 搭載されている無線LANモジュールはアンテナが1本のみなので、通信速度の上限は433Mbpsとかなり抑えられている。値段相応の装備といえるだろう

    搭載されている無線LANモジュールはアンテナが1本のみなので、通信速度の上限は433Mbpsとかなり抑えられている。値段相応の装備といえるだろう

シンプルさを重視した製品であるため、特筆するような独自機能はないが、プリインストールされたツール「Control Center」からCPU温度の監視やファン回転数の調整、さらに指定のキーにショートカットやマクロを登録する機能を備える。

  • K700SNの独自要素といえるのが「Control Center」から呼び出せる3つの機能。Power Modesは電源プランの変更、FAN Speed Controlは文字通りファン回転数の調整、そしてFlexikeyはキーマップのカスタマイズ機能だ

    m-Book K700SN-M2SH2の独自要素といえるのが「Control Center」から呼び出せる3つの機能。Power Modesは電源プランの変更、FAN Speed Controlは文字通りファン回転数の調整、そしてFlexikeyはキーマップのカスタマイズ機能だ

  • FAN Speed ControlではCPUやGPUの温度を確認しつつ、ファンの回転数を下の目盛りで調整できる。自動のままで任せておいてもなんら問題はないが、ヘビーな処理をさせるときにあらかじめファン回転数を上げておく、的なチューンはできる

    FAN Speed ControlではCPUやGPUの温度を確認しつつ、ファンの回転数を下の目盛りで調整できる。自動のままで任せておいてもなんら問題はないが、ヘビーな処理をさせるときにあらかじめファン回転数を上げておく、的なチューンはできる

  • Flexikeyは本来ゲーム用にマクロなどを登録する機能だが、よく使うショートカットキーを使わないファンクションキーに登録すれば、実務系やクリエイティブ系アプリでの作業がよりはかどるだろう

    Flexikeyは本来ゲーム用にマクロなどを登録する機能だが、よく使うショートカットキーを使わないファンクションキーに登録すれば、実務系やクリエイティブ系アプリでの作業がよりはかどるだろう

  • サウンドのミドルウェアはお馴染み「Sound Blaster Connect」。低音強調や疑似サラウンド感の違うプリセットが用意されており、それをベースに自分の好みの音に作り込んでいける

    サウンドのミドルウェアはお馴染み「Sound Blaster Connect」。低音強調や疑似サラウンド感の違うプリセットが用意されており、それをベースに自分の好みの音に作り込んでいける