歴史ある「キヤノンフォトコンテスト」は今回で第52回目となる。応募作品は「自由部門」「風景部門」「スポーツ部門」「乗り物部門」「生き物部門」「ポートレート部門」「アンダー30部門(応募資格:1987年5月1日以降生まれの方)」の7部門に分けて選考され、なんとグランプリには賞金100万円が贈られる豪華さだ。応募期間は8月31日までとなっている。
選考する審査員は第一線で活躍するプロフォトグラファーであり、その確かな目で毎年素晴らしい作品が選出されている。
ここまでの話では非常に敷居の高いコンテストに聞こえるかもしれないが、実はそうでもない。応募資格は「日本国内のアマチュア限定」だけであり、カメラもフルサイズの一眼からコンパクトデジタルカメラまでとほぼ縛りはない。
また「他社製カメラでもOK!」と、誰でも応募が可能なコンテストでもある。その代わりと言う訳ではないが、例年非常に多くの応募があり、ただ単に応募するだけでは勝ち抜けない。そこで今回、乗り物部門担当である山﨑友也氏に実際に作品を見ていただき、心が折れることを覚悟の上でアドバイスをいただくことにした。
山﨑友也氏
乗り物部門 審査員
日本大学芸術学部写真学科卒業後に鉄道写真の第一人者として名高い真島満秀(故人)氏に師事。その後は独立してレイルマンフォトオフィスを設立し、代表を務める人気写真家だ。流し撮りでスピードを強調したりシルエットで見せるイメージ的な写真のほか、鉄道を絡めたスナップ写真を得意とする。
山﨑氏のフォトコンの思い出は意外にも……
実際に審査していただく前に、山﨑氏にフォトコンテストの思い出について語ってもらったところ、意外な事実が判明。大学時代に鉄道雑誌と都電のコンテストに応募するも2回とも落選。「箸にも棒にも掛からぬとはこのことですね。自信があったので落ち込みが激しくて、それ以来応募してないですね(苦笑)」とは本人談。
現在は人気講師として教える身の山﨑氏は生徒には「応募した方がいいよ」とコンテストへの出品を勧めている。受賞できればもちろんモチベーションが上がって楽しめるし、また自分がどのくらいのレベルであるかが客観的に見られるいい機会でもあるとのことだ。
審査員が注目する点とは
審査の際はとにかく第一印象が重要とのこと。よい写真というのは、パッと見たときに心を打たれる「何か」があるそうなので、見た際に「これは上位かな」「これは無理かな」といったことがわかるそうだ。それだけ、ファーストインプレッションは重要になってくる。山﨑氏が次に重要な要素としては「構図」を挙げてくれた。そのほか、見せたいものをきちんと見せるためにピントをしっかりと合わせることも大切であると話してくれた。
担当する乗り物部門に関しては、ただカッコよく撮るだけではなく、それにプラスアルファの要素が必要であるとのこと。ただ「キレイだね。カッコイイね」で終わってしまうのではなく、そこに作者の感性を加えてもらえると、審査員も思わずジェラシーを掻き立てられる素晴らしい作品になるとのことだ。