村山:クレジットカード業界への期待も高まる中、業界としては、具体的にどのように活動すべきだとお考えですか?
北嶋:クレジットカードを通じて消費の拡大に貢献するために、我々は国内外を問わず全てのクレジットカードを利用する方々に『安全・安心』なクレジットカード決済環境を提供してクレジットカードの『利便性』を向上させる必要があります。 「世界で最もクレジットカードが使いやすい安全・安心な国 日本」の実現のため、経済産業省の協力を得て幅広い関係主体が参画して発足した「クレジット取引セキュリティ対策協議会」はクレジットカード情報の漏えい対策、偽造カードによる不正使用対策、ネット取引における不正使用対策の3点について関係主体が実施することを昨年2月にクレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画として取り纏めました。 そして、昨年12月に公布された改正割賦販売法によって実行計画は改正法上の義務履行にかかる実務上の指針として位置付けられました。また、実行計画は「クレジット取引セキュリティ対策協議会」の1年間の活動も踏まえて本年3月に2017年版に更新されました。 クレジットカード業界は、『安全・安心』なクレジットカード決済環境の実現に向けて、この新しい実行計画を着実に推進するために一致団結した行動が求められており、個々のクレジットカード会社としても協力が不可欠です。
個社の取り組み - 訪日外国人がクレジットカードを快適に利用できる環境の整備
村山:次に、貴社としての取り組みについてお聞かせください。2016年の訪日外国人数は2404万人、訪日外国人旅行消費額は3兆7,476億円と、ともに過去最高となり、今後も東京2020大会に向け更なる増加が見込まれておりますが、こうした環境の中、どのような取り組みをされていますか?
北嶋:インバウンド売上の拡大は消費拡大に向けてとても重要です。そのため、ユーシーカードでは、訪日外国人向けのサービスの拡大に注力しています。 取り組みをいくつかご紹介させていただきますと、まずはじめにユーシーカードが2009年に日本で初めてサービスを提供したDCC(Dynamic Currency Conversion)があります。 DCCとは、訪日外国人の方が日本でクレジットカードをご利用になる際に自国通貨での決済も選択できるシステムです。訪日外国人の方のご利用が多い宿泊施設の加盟店様を中心としてお取扱いを積極的に推進し好評を得ています。 通常クレジットカードを外国で使用するとお支払いは現地通貨で決済し、帰国後に自国通貨に換算されて請求されることとなりますが、カード会社の処理の都合上どの時点の換算レートが適用されるか分からない等、不便な点があります。 その点DCCはお支払いをするその場で適用する換算レートをお示しして自国通貨でのお支払い金額が確定するため、訪日外国人の方に分かりやすく安心してご利用いただけます。 帰国後、自国通貨での金額確定を待たずにすぐに経費精算を行いたいビジネスユーザーの方にも大変ご好評いただいております。 現在対応している通貨は業界最大の30通貨となっており、訪日外国人の方の99%以上をカバーできることも強みの一つとなっています。 また、外国語でのお客様との対応に不安を感じる加盟店様のご負担を減らすため、外国語を話さなくても意思疎通が図れる「指差しシート」や「UC電話通訳サービス」を導入し、DCCお取扱い加盟店様のサポートに努めています。 取り組みの2つめとして、2011年以降お取扱い加盟店様の拡大に力を入れている銀聯カード決済があります。訪日中国人数は年々増加しており、その旅行消費額は全体の約4割近くを占めています。銀聯カード決済ニーズは今後も増えていくものと考えています。 最近では消費の関心が「モノからコト」へ変化しており、従来の物品販売の加盟店様に加えて体験型のサービスを提供している加盟店様にも推進を拡大しています。 今後もお取扱い加盟店様を着実に増やして、加盟店様と協力した銀聯カード利用者様向けのキャンペーンも積極的に展開していく予定です。
村山:2月から月末の金曜日の終業時間を早める取り組み「プレミアムフライデー」が官民連携で実施されていますが、貴社では何か新たな取り組みを行っていらっしゃるのでしょうか?