ダブル水冷を実現した「クイックコネクト」

水冷ユニットを確認するため、「NEXTGEAR i650PA7-SP3-DL」の内部をチェックしていきたい。通気用のエアホールが設けられた左側面のパネルを外すと、ダブル水冷の構造が見えてくる。

本体左側面の様子。通気用のエアホールから、水冷用のチューブが確認できる

左側面パネルを開けたところ。厚みのあるラジエーターと、水冷ヘッドが取り付けられたCPU、グラフィックスカードが確認できる

CPUとGPU両方を水冷ユニットで冷却する本機。他のPCメーカーが展開する水冷モデルとの最大の相違点は、1基のラジエーターで冷却を行っている点だ。CPUにしろグラフィックスカードにしろ、簡易水冷は、ラジエーターと冷却ヘッド&ポンプユニットを直結した製品が多い。そのため、冷却対象となるパーツに対して1基の簡易水冷ユニットが使用されることが一般的だ。

しかし、G-Tuneのダブル水冷モデルでは、新たに「クイックコネクト」を採用することでこの問題を克服。CPUとGPUを1基のラジエーターで冷却する構造を実現した。「クイックコネクト」は、分離したときに内部の液体が漏れないよう、自動的に弁が閉まるという仕組みを備えたもので、シャットオフコネクタなどとも呼ばれる。

グラフィックスカード上部に結束バンドでまとめられているクイックコネクト付きチューブ

この「クイックコネクト」の利点は、ラジエーターを1基に集約できるだけではなく、パーツの取り外しを簡便にしたり、水冷ユニットの流用を可能にするなど、多数のメリットを備えている。

力を入れてバルブを押し込み、横方向に回すことでコネクタを分離できる

出荷時の状態では「クイックコネクト」は結束バンドでまとめられているが、この結束バンドを切ってしまえばユーザーの手で自由に分離が可能。実際に分離させてみたが、ノズルには微量の水滴が残るのみで、冷却液の漏れはほぼないといっていい。

クイックコネクタの内部を拡大したところ。わずかな水滴が確認できるのみで、液体漏れはほぼない

本機のレビュー時には、期間限定の大型ラジエーター無償アップグレードキャンペーン中であったため、幅12cm、厚さ5cmの大型ラジエーターが搭載されていた。通常は、厚さ2.5cmの標準ラジエーターが搭載されるが、この大型ラジエーターもBTOで選択することができる。プラスチック製のアダプターが装着されており、これを介してケースに取り付けられる。

ファンの取り付けられたラジエーターを取り外したところ。水冷ヘッドが分離しているため、取り回ししやすい

ラジエーターにはプラスチック製のアダプターが取り付けられており、通常ファン向けのネジでケースに取り付けられる

キャンペーン期間中であったため、搭載されていたラジエーターの薄さは5cmと、安価な簡易水冷ユニットよりも厚い。ファンは通常の2.5cm厚だ

外排気ファンと水冷ヘッドを組み合わせたGPUクーラー

CPUの水冷ヘッドは、簡易水冷ユニットなどでもみられる一般的なもの。空冷のCPUファンを取り付けた構成と比べて、マザーボードが非常にすっきりとするのもメリットの1つだろう。

マザーボードに取り付けられたCPUの水冷ヘッド。フィンやファンがない分、非常にすっきりとしている

GPUの水冷ヘッドは、外排気型のクーラーユニット内部に取り付けられている。GPUコアは水冷、基板やVRAMなどは空冷で冷却されるため、しっかりとグラフィックスカード全体を冷やせそうだ。チューブはカードの側面から外部に露出している。

一見すると一般的な外排気型クーラー付きのグラフィックスカードだが、側面より水冷用チューブが伸びる

2本の水冷用チューブに加え、電源コネクタも確認できるが、こちらは本機では使用しない追加ファン用電源のため、結束バンドでまとめられている