マルチミッションドライブ……時計の時針・分針・秒針などの針それぞれが、複数のミッション(機能)を持ち、豊かな表現を可能にするというカシオのアナログ時計のものづくりにおける思想。「G-SHOCK」「PRO TREK」「OCEANUS」「EDIFICE」といったカシオの時計ブランド、中でもミドルクラス以上の高機能アナログモデルに搭載されている針の駆動・制御システムだ。たとえば、時針、分針、秒針を別々のモーターで動かすことで、機械式時計や従来のクォーツ時計では不可能だった多彩な針の動きを実現した。

今回は、そんなカシオのアナログ時計、コアテクノロジーともいうべきマルチミッションドライブの進化がもたらした、特徴的な針の機能と表現を動画で収録。同社モジュール開発スタッフの方々による解説とともにお届けしよう。なお、これに電子式りゅうずスイッチをUIとして組み込み、アナログ時計としてのユーザビリティを向上させたシステムを「スマートアクセス」と呼ぶ。

マルチミッションドライブやスマートアクセスを備えるカシオのアナログウオッチたち

見た目はアナログ、中身はデジタル

解説をお願いするのは、カシオ計算機 時計事業部 モジュール開発部の小島直氏、長谷川幸佑氏、牛山和人氏だ。

カシオ計算機 時計事業部 モジュール開発部 小島直氏

小島氏「実際の針の動きをご覧いただく前に、マルチミッションドライブのコンセプトについてお話しさせてください。ご存じの通り、カシオのアナログ時計は見た目はアナログですが、中身はデジタル技術の集合体です。それは各種センサーやGPS、スマートフォン連携など、時計の本質的な『正しい時刻』や『時刻精度』の追求とともに、省電力化、針位置の補正などの使いやすさにも大きく貢献しています。

もうひとつの柱が、アナログ時計最大の特徴である"針"について。ただ単に動かすだけでなく、デジタル制御だからこそ可能な機能、表現のための制御を積極的に追求しています。この針による機能や表現を可能にしたのが、省電力技術とモーターの小型化です。消費電力が少なく小型化されたモーターを開発したことで、モジュールに搭載できるモーターの数が増え、複数の針それぞれを別々に駆動、制御することが可能になったのです」

カシオ計算機 時計事業部 モジュール開発部 長谷川幸佑氏

長谷川氏「これらの針を使って、お客様にさらなる使いやすさを提供する。それは、マルチミッションドライブの原点的な思想で、メタルアナログウオッチを始めたころから考えていました。もっともわかりやすい例が時刻合わせです。

スマートアクセスの搭載機種では、電子式リューズスイッチで直観的に時刻合わせを行えます。たとえば、時刻を1時間進める場合、機械式時計や一般的なクォーツ時計は時分針が連動しているので、分針が360度回転します。一方、スマートアクセスでは時分針が別々に動くので、時針が30度動くだけで分針は動きません。より短時間で時刻を合わせられます」

【動画】CASIO G-SHOCK「MTG-G1000」時刻合わせ
※音が出ます。ご注意ください。