―― 一般の人たち対して、このような場合は皮膚科に行ったほうがよいとか、あるいは皮膚科で診察を受ける場合はこんなことに気を付けたほうがよいいといったアドバイスをいただけますか?
田中氏「小さなホクロを見つけただけで気にしてしまう人も多いのですが、それだけで慌てる必要はありません。メラノーマや基底細胞がんの可能性が疑われるのは、例えば成人してから一個だけ大きなホクロができた場合です。
ホクロは20歳くらいまでは膨らんでも普通の経過です。でも、40歳くらいで急に膨らむのは普通とはいえません。具体的には7mm以上とか。半年や一年で確実に大きくなった場合は要注意です」
古賀氏「注意したい点としてはもうひとつ。受診される場合は皮膚科専門医に行くとよいでしょう」
田中氏「日本皮膚科学会のウェブサイトにアクセスして、『一般市民の皆様』を開くと『皮膚科専門医マップ』のバナーがあるので、そこをクリックしてリストに表示される先生に診てもらってください。
それから、皮膚科の受診で気を付けたいのは、一度の診察ですぐに治らないからといって、医院や病院を転々とすることです。皮膚科の診療には経過の観察が極めて重要です。一度や二度の診察では、どんな名医でも正確な診断は難しいのです」
■公益社団法人 日本皮膚科学会 |
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古賀氏「そうですね。ただ、ダーモスコピーの技術を身に付ければ、もしかしたら一回で診断できるかもしれない。この技術は医師にとっても患者にとっても、非常に有用なものです」
外川氏「皮膚がんは早期に発見すればほとんどは治ります。早期に皮膚がんと正確に診断するには経験と訓練の積み重ねが必要ですが、ダーモスコピーという技術はその積み重ねを飛躍的に助けてくれます。習熟すれば、かなり自信を持って正確に診断できるようになります。結果、皮膚がんで亡くなる人が減っていくでしょう。これは非常に意味があることです」
田中氏「ですから、学習システムのCeMDSにも大きな意義があるし、みんなのメリットになっています。ダーモスコピーとCeMDSを広めていくことが大事かなと考えています」
―― 本日はありがとうございました
皮膚科医を対象とした「ダーモスコピー道場」
最後に、日本皮膚科学会で開催された「ダーモスコピー道場」の様子を紹介しておこう。会場に用意された100台のパソコンを使い、参加者が典型的なダーモスコピー画像などの臨床情報を見ながら自分なりに診断し、診療技術の向上を図るというものだ。問題を解いて答え合わせしていくのとは異なり、疑問が生じれば座長やチューターに質問して個別対応してもらうことで、ダーモスコピーで診断を確定できないときの対処法なども学べるようになっている。
ダーモスコピー道場は、日本膚科学会総会で過去に2回開催されており、今回が3回目となる。事前登録制で2,000円の受講料も必要だが、毎回募集するとすぐに定員に達し、キャンセル待ちが出る講座だ。実際、取材したときも会場には多くの受講生が集まり、いずれも真剣な表情でパソコンの画面を見つめていた。
ダーモスコピー道場の様子。正面スクリーンに例題が表示されているものの、受講生は目の前のパソコンで問題に取り組める |
会場のあちらこちらにはチューターと呼ばれるベテランの先生が控えており、受講生の疑問やトラブルに素早く対処。インタビューに応じてくれた田中教授をはじめ、一線級の皮膚科専門医がチューターを担っている |
今回のダーモスコピー道場は、WebサービスであるCeMDSのインタフェースをベースに、短時間で多くの問題に取り組めるよう配慮された専用ソフトを使って実施。専用ソフトの開発は、今回のダーモスコピー道場座長である古賀氏、外川氏を中心とする皮膚科学会の医師たちと、カシオ計算機の医工連携で行われた。ダーモスコープで観察した画像が表示され、疾患の選択肢を表示。選択肢のひとつをクリックすると正解だったかどうか判定され、その後、正解と解説を読めるようになる。一度自分の頭で考えるプロセスがあるため、きちんとトレーニングになっているわけだ。
CeMDSをベースとした、ダーモスコピー道場向けの学習画面 |
ダーモスコピー学習サービス「CeMDS」は、不足しがちな医師の経験を補い、医師の医療スキルの維持・向上に貢献する。ひいては、皮膚がんの早期発見に大きく寄与する可能性を秘めたサービスだ。
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