―― そこでダーモスコープによる診察の学習ができる、CeMDSが重要になるのですね。

「CeMDSでは疾患部の写真画像を任意で拡大表示できるのも、書籍で学ぶのとは違う利点です」(古賀氏)

古賀氏「はい。CeMDSはパソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスと、インターネットの通信回線があればどこでも利用できます。

開業医さんは忙しくてなかなかまとめて勉強する時間が取れませんし、地方だと学会に出席するのも大変ですから、空いた時間にCeMDSでこまめに勉強できるのは非常に効率的だと思います」

田中氏「それと、本で読んだり、ネットで調べたり、学会で習うといった場合、多くは症例と診断が先に分かっていて勉強します。そうすると、この病気だからこの所見があるだろうって思いながら見てしまいますね。

これは答えを見ながら数学の問題を解くようなものです。分かった気にはなるけれど、実際はきちんと理解できていなくて、問題を解く力がしっかり養われていないことが多いんです。これに対し、CeMDSのシステムは答えが分からない状態で解いていく点も重要です。開発しているときに、外川先生がこれをすごく重要といってくれました」

「多くの医師がダーモスコピーの技術を習得することで、高い薬剤を使わなくてもよくなり、皮膚がんで亡くなる人も減るはずです」(外川氏)

外川氏「そうなんです。CeMDSが表示する画像だけを見て、診断を伏せておいて勉強したほうが、答え合わせの印象が強くなって、勉強の効果が高くなります」

―― 答え合わせをすると、成績も客観的に分かるんですか? もし、全国何位などと表示されると緊張しますね。

古賀氏「日替わりの出題とは別に、『ダーモチャレンジ』と題して6月中を回答期限にした30問を出題しました。この30問に関しては、成績を細かく分析できるようにしてあります。全国何位などは利用者のモチベーションにも関わるので表示されませんが、偏差値でAからCまでランクがあって、自分がどのランクのどのへん……といったことは分かります。ランクが高ければ自信が付くし、ランクが低ければもっと勉強しなければと危機感が持てるようになります。

また、解答者のプロフィールに紐づけた分析も行えるので、例えば皮膚科専門医は、内科医や研修医よりも平均点が高いといった傾向が、データとして表れるはずです」

田中氏「ダーモチャレンジでは、疾患別の成績も分かるので、自分の弱点を把握できます。全体的には自信が持てるレベルだけれど、この病気の診断は苦手なようだからもっと勉強しようといった具合に、自分自身の診断力を把握できるわけです」

―― 今なら無料とのことですが、将来はどうなるのでしょうか。

カシオ担当者「無料サービスは今後も継続していくつもりです。今後の機能拡張やコンテンツの拡充に伴って、一部の機能やコンテンツは有料といった変更が加わる可能性はあります。時期は未定ですが、田中先生、外川先生、古賀先生をはじめ、現場の皮膚科医師の先生方とも意見交換しながら、進化させていきたいと思っています」