明るい開放値のメリットとは
では、開放値F1.8にはどんなメリットがあるのか。そのひとつは「ボケ」の表現だ。ボケは、スマートフォンやコンパクトカメラでは表現しにくいレンズ交換式カメラならではの特徴のひとつ。近景や遠景にふんわりとしたボケを作り出すことで、写真に深みや味わいを与えることができる。
下の写真は、「OLYMPUS PEN Lite E-PL7」のレンズキットに付属する標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ」で撮影したもの。絞りを開放にしているので背景はそれなりにボケているが、少しゴチャゴチャした印象が残る。
絞り優先AE(F3.8 1/800秒) ISO200 WB:日陰 焦点距離:17mm カメラ:PEN Lite E-PL7 レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ |
同じ構図のまま、単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8」の開放値で撮影したのが次のカットだ。上の写真とはまったく別物と呼べるくらい、背景が大きくボケている。しかも、柔らかく品のあるボケだ。このボケによって、主題となる手前のユリの花をいっそう際立たせることができた。
明るい開放値のもうひとつのメリットは、薄暗いシーンに強いこと。一般的に夜間や室内といった光量が乏しい場所では、手ブレや被写体ブレを防ぐため、ストロボや三脚を使う、あるいは感度を高くする、といった対策が必要になる。だが明るい単焦点レンズなら、そんな心配は要らない。
下の写真は、キット付属の標準ズームで撮影したもの。ストロボや三脚は使用せず、手持ちでブレずに撮れるギリギリのシャッター速度である1/8秒にセットした、感度は「オート」を選択した。すると、カメラの判断によって感度が自動的にアップし、ISO1600となった。
シャッター優先AE(F3.8 1/8秒) ISO1600 WB:晴天 焦点距離:17mm カメラ:PEN Lite E-PL7 レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZ |
次は同じ撮影条件にて、単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8」で撮影したもの。絞り開放値が明るい分だけ、感度はISO500に抑えられた。拡大するとよくわかるが、高感度ノイズが少なく、標準ズームで撮った写真よりも美しい仕上がりである。