日本でも確固たる地位を築いている台湾の電気製品メーカー「ベンキュー」。日本で有名な製品は、BCN AWARDを2年連続で1位を獲得した液晶ディスプレイだが、実はプロジェクターも、DLPプロジェクターでは販売台数世界第1位という輝かしい実績を持っており、国内シェアも押しなべて高い。ビジネスユースはもちろんのこと、ホームシアター向けのラインナップも幅広く、プロジェクターをお探しの企業や個人ユーザーなら、一度は比較対象の候補に上がるはずだ。今回は、そんなベンキューのビジネス向けプロジェクター「MW705」「MH741」「SH963」をご紹介しよう。

液晶ディスプレイのみならず、DLPプロジェクターでも高いシェアを誇るベンキュー

ベンキューのビジネス向けプロジェクター「MW705」(写真左)「MH741」(写真中央)「SH963」(写真右)

ベンキューが得意とする「DLP」プロジェクターの仕組み

まずは「DLP」について説明しておこう。DLPは、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を利用した映像表示システムのことを指している。テキサス・インスツルメンツ(以降、TI)によって開発、商標登録されており、特に映画館でのデジタルシネマ上映システムとして、高いシェアを誇る。

DLPの基本的な仕組みは、光源からの光をレンズで集め、マイクロチップに画素単位で内蔵された微細なミラーによって反射させ、その角度で輝度を変化させるというもの。この光に色を付ける方法は2つ用意されている。1つは色の三原色である赤・緑・青それぞれにDMDを用いるもので、3板方式と呼ばれる。もう一つは赤・緑・青に色分けしたカラーホイールを高速回転させ、色を時分割で表示させる、単板方式と呼ばれるものだ。3板方式はその特性上コストが高くなってしまうため、ビジネスやプライベート向けとして販売される製品の多くは、単版方式が採用されている。

DLPの基本的な仕組み

液晶と比べた際の、DLPの映像的な特徴は大きく分けて3つ。画素間の隙間が小さく、画素のツブツブが目立たない滑らかな画面が得られること。またミラーをOFF(反射させない)にすることで光を遮ることができるため、暗部の再現性が高く高コントラストが得られること。そして、液晶に比べ応答速度が速く、映像のブレが少ないことだ。単板方式は色を時分割しているため、以前はカラーブレイキング(色割れ)と呼ばれる問題も発生していたが、DMDやカラーホイールの動作速度の向上などにより、現在ではその欠点もほぼ克服された。そんなDLP方式を採用したプロジェクターの開発を得意とするメーカーのひとつが、ベンキューだ。

ビジネスシーンで求められるプロジェクターとは

プロジェクターといえば最初にイメージされるのが映画上映だが、大画面を投写できるという特性から、幅広くビジネスシーンでも利用されている。ビジネスで利用する場合に特に重要となるのが、輝度つまりランプの明るさだ。会議室などの比較的広い場所で大画面を映し出すには、ある程度の投写距離が必要であるため、一定以上のランプの明るさが必須となる。また蛍光灯により室内が明るく照らされることで、投影した画面が見えないこともある。これらを防ぐためには、絶対的な輝度が必要だ。明るさは"ルーメン"という単位で表現されるが、会議向けでは小規模でも最低3000ルーメン、中規模以上であれば5000ルーメン以上を目指したいところだろう。ビジネスプロジェクターは解像度や接続端子などに加え、この輝度が製品選びの重要なファクターとなるわけだ。

次ページからは、ベンキューのビジネス向けプロジェクター3機種を具体的に紹介していこう。