映画の色を忠実に再現するフルHDプロジェクター「HT3050」
ベンキューの「HT3050」は、同社のホームシアター向けプロジェクターのハイエンドモデルだ。画素数は1920×1080ドットとなり、輝度は2000ルーメン。フルHD映像をドットバイドットで再生することができる。本機の最大の特徴は、ITU-Rが定めた国際標準規格「Rec.709」に準拠した色表現が可能なこと。Blu-ray Videoもこの規格を基準として作られているため、制作者の意図したシネマティックカラーを再現することができる。また世界的な映像の品質基準であるISF認定も取得しているため、よりこだわりたい方は、ISF認定エンジニアの手によるカラーキャリブレーション調整を受けることも可能だ。
この豊かな色彩表現の源は、ベンキューが採用しているDLP方式にある。一般的な液晶パネルに比べ、残像が少なく、滑らかで高コントラストな映像を実現するDLPは、映画館のデジタル上映にも用いられている方式。また中間色の輝度を向上させることで画像をよりクッキリと鮮やかに表示する、"BrilliantColor"技術にも対応しており、臨場感ある映像で映画を楽しむのにピッタリだ。
「Rec.709」に準拠しているため、映画制作者の意図する色を忠実に再現することができる |
Rec.709準拠のカラーは、メニュー画面のピクチャモードから「Cinema(Rec.709)」を選択することで利用可能 |
設置の自由度を上げるズームレンズ、レンズシフト、台形補正
外形寸法はW380.5×H121.7×D277mmとなり、ホワイトとシャンパンゴールドのカラーリングでデザインされている。本体重量は3.6kgと軽めで、室内での移動はそれほど苦にならないだろう。ランプのクーリングは、左側面から前面左側という流れで行われる。
1.3倍のズームレンズを搭載しており、100インチを実現するための投写距離は2.53~3.29mと幅広い。またレンズシフトを搭載しており、本体の位置を動かすことなく、画面の位置を上に105~115%の範囲で移動させることが可能だ。本体底面の高さ調整用のスタンドと併用すれば、かなりの範囲で垂直方向の調整が行えるだろう。さらに上下左右の台形補正にも対応しており、斜めからの投写で画面が歪んでしまってもデジタル補正が可能。ただし、こちらは画質の劣化が大きいため、最後の手段、もしくは一時的な使用に留めたい。
ピント合わせやズームイン/アウト、レンズシフトは、レンズの上部にあるスライド式のふたを開いて手動で行う。そのほかの操作ボタンは本体天板に搭載されており、こちらの操作は付属する自照式リモコンでも対応可能だ。
迫力ある重低音が再生できるステレオスピーカーを内蔵
本体背面に搭載されている映像入力端子は、HDMI 1.4a×2、VGA×1、コンポーネント×1、コンポジット×1の5系統。またHDMIのうち1系統はMHLに対応しているため、スマートフォンやタブレットの映像を直接映し出すこともできる。そのほかのUSBやRS-232Cといった端子は、制御用として用いられるものだ。
また、プロジェクターとしては異例となる10W×2のチャンバー型ステレオスピーカーを搭載しているのも大きな特徴。BenQオーディオエンハンサーにより重低音が強化されており、イコライジングも行える。HDMIからの音声入力のほか、オーディオ入力/出力端子も備えているため、アナログオーディオにも対応可能だ。別途AVアンプなどを用意しなくてもクオリティの高い再生が行えるため、普段と異なる環境にプロジェクターを持ち込んだ際に便利だろう。
ちなみに映像入力ソースの画面を見ると、本体背面には搭載されていない3つめのHDMI端子が存在していることがわかる。実はこの端子は、本体カバー内に内蔵されたHDMIケーブルに対応しているもの。しかしこの端子は海外版専用オプション用となり、外部機器との接続には利用できないとのことだ。
こだわりの画質と数々の機能を搭載したモデルだけに、価格が気になるところ。しかし「HT3050」はベンキューのハイエンドモデルながらも、2016年3月現在、13~17万円程度という価格で購入できてしまう。下位モデルとの金額差も少ないため、そのクオリティを考えるとベンキューのホームシアター向けプロジェクターのイチオシモデルといって間違いなさそうだ。