液晶ディスプレイをはじめとした映像機器において、世界、そして日本で高いシェアを誇る台湾メーカー「ベンキュー」。その技術を用いて作られるプロジェクターは、ビジネスシーンだけでなくホームシアター分野においても評価が高い。また、用途に合わせた幅広いラインナップに加え、実勢価格が抑えられているのも大きな魅力。今回は、昨年11月に発売された「HT3050」を中心にベンキューのホームシアター向け製品をご紹介しよう。
ホームシアター向けプロジェクターに求められる要素とは
プロジェクターといって真っ先に思い浮かぶのが、映画上映だ。ホームシアターでも基本的な仕組みは変わらず、プロジェクターからの光を白いスクリーンや壁に当て、映像を楽しむ形となる。ビジネスシーンでは、広い空間での投写や、蛍光灯などの影響を想定した高輝度のランプが求められるが、ホームシアターでは明るさはそれほど重要ではない。家庭の照明はもともとそれほど明るくなく、また自宅では部屋を暗くすることが容易だからだ。プロジェクターの持つコントラスト比は、部屋が暗ければ暗いほど活きるため、自宅内でわざわざ明るくするメリットは少ないだろう。
一方で、設置場所の限られるホームシアターでは、ビジネスシーン以上に設置の自由度が求められる。この理由の一つは、投射距離の問題だ。大画面を実現するためには一定の距離が必要となるため、映し出したい画面サイズに応じた投射距離を確保しなければならない。もう一つは、上下左右の投射角度の問題だ。映像の映る位置は、プロジェクターを置く高さや打ち込み角(レンズから、映し出される映像の中心までの角度)に左右され、また基本的に映し出す位置の正面にプロジェクターを置かなくては映像がゆがんでしまうからだ。この2点が、ホームシアター導入の最大の障壁となる。
本格的にホームシアター環境を構築するなら、天吊り金具を利用してスクリーンを天井に固定してしまうのが理想だが、多くの家庭ではハードルが高いだろう。こういった設置の不便さを解消するために重要なのが、ズームレンズやレンズシフト、台形補正などの調整機能。ホームシアターでは、家庭内に実際に設置可能かどうかが重要な観点になる。
そして、ホームシアターは"映像を楽しむ"ことが最大の目的であるため、画質は大切なポイントだ。昨今は4K映像も増えているが、現在の高画質メディアといえば、まだまだBlu-ray Videoが主流。このBlu-rayに収録されているフルHD(1920×1080ドット)映像を、どこまで再生できるかはぜひ確認したい。また色再現性やコントラスト比なども要チェック。色調の好みは個人の嗜好が大きく左右するので一概にどれがいいとはいい切れないが、色域の広さや、映像補正技術の採用などをうたっている製品は、画質を考慮したモデルと考えていいだろう。
次ページからは実際に、ベンキューの「HT3050」を中心としたホームシアター向けプロジェクターを紹介していこう。