ちなみにモンテールの広報さん曰く、「エクレアはチョコレートを下側にして食べるとダイレクトにチョコを舌で味わえておいしいですよ!」とのことです。寿司と同じ原理ですな。
ところで、さっきから気になっていたのですが、部屋の扉を開くたびに風が出てきますよね。これってどうなっているんですか?
「商品の仕上げはクリーンルームと呼ばれる部屋で行っているのですが、極限まで無菌状態を保つために、「Hepa(ヘパ)フィルター」という特殊なフィルターを天井につけて、清浄化した空気だけを送り込んでいるのです。扉を開けた時に外の空気が入らないように、部屋を陽圧に保っているため、入ろうとすると部屋の中の空気が外に出ていくので風を感じるのです」
へえ~そうだったのか。そういえば書かなかったのですが、扉を一度出入りするたびに、全身コロコロをかけて、さらに手と持ち物を念入りに洗浄していますからね。クリーンさに対する徹底ぶりがすごい。間違いなく僕は今、生涯でもっとも清潔な空間にいる。
カスタードづくりは●●が命
続いてはカスタードを作っているところを見せていただきました。カスタードはモンテールの製品のほとんどに使われている、いわば柱ともいえる素材。それ作っているところって、思い切り企業秘密なのでは……と思いつつも図々しくカスタード室へ突入!
おおおお……! 目の前に大量のカスタードが! こんなたくさんのカスタードを目にする機会なんて普段ないため、脳がなかなかカスタードであることを処理できませんでしたが、しかしこの甘い香りは間違いなくカスタード! でも、思ったより釜が小さい気がしますね。あれだけのスイーツを作るのに、このサイズの釜で作る量で足りますか?
「釜が小さいので1日に何十回も炊いてます。本来はもっと大きな釜で一気に作る方がもちろん効率はいいのでしょうけど、そうすると満足のいく味にならないんです。最高の味を追求しながら、なるべくたくさんの量を作るためにはどうすればいいかを突き詰めた結果、この容量に行き着いたのです」
釜の大きさにまでこだわっていたとは。それにしても、モンテールのカスタードっておいしいですよね。濃厚だけどくどくないし、舌触りもすごくなめらかだし。
「ありがとうございます。その秘密の一つが、銅釜です。オールステンレスの釜もあるのですが、モンテールでは研究の結果、熱効率のいい銅釜の方がおいしくなると判断しました。そこでうちの工場で使えるような銅釜を探したのですが、そんな釜はなかなか見つからなくてですね……」
まぁ、そりゃあないでしょうね。
「そこで、メーカーさんにお願いして特別に作っていただいたのです。特注なので価格はすごいことになりましたけどね(笑)」
いやはや、すごいこだわりようですね。そこまで徹底しているということは、食材も……?
「原料は厳選したものを使っています。たとえば牛乳や卵は工場近隣でとれるものを使っているので、新鮮なうちに使えるんですよ」
えっ、牛乳もですか? 牛乳はてっきりミルクメーカーのを買ってるんだと思いました。
「それには理由がありまして……」
意味深につぶやくと、モンテールさんは続いて「ミルクプラント」へ案内してくれました。
モンテールのコダワリを象徴するミルクプラント
「工場近隣でとれたミルクは生乳のまま運ばれてきて、ここで殺菌されます。『牛乳と卵のシュークリーム』など商品名にも入れているぐらい、モンテールにとって牛乳は大切な素材。しかも『鮮度だけでなく味わいも美味しいものを』ということで65℃で30分じっくりと殺菌する“低温殺菌牛乳”を作っています。低温殺菌には何しろ時間がかかりますが、生乳本来の甘味が引き出せるので、とってもおいしくできるんです。実はうちが求める量の低温殺菌牛乳を用意していただけるメーカーが見つからなかったのです。ミルクメーカーさんは全国にたくさんのミルクを出荷しますから、ちょっとそれは難しいということになりまして」
せめて低温殺菌を諦めるという手もあったのでは……。
「そこは妥協できません! 牛乳はモンテールのスイーツの主原料です。低温殺菌牛乳はなかなか入手しづらいですが、とはいえ『低温殺菌の方がおいしい』という結論に行きついたわけですから。」
求める牛乳が手に入らないなら二番目に合う牛乳を買おうや、という方向に行くのかと思いきや、「ないなら自分たちで作っちまおうぜ!」というロックな発想に向かってしまったというわけ。銅釜のくだりでも思ったけど、モンテールってけっこう振りきれてる会社だよね。
「そもそも、工場をこの美濃加茂市に建てたのも、周りに酪農家さんや養鶏家さんが多く、新鮮な素材がすぐ手に入ることが理由でしたからね。モンテールの工場は、すべて牛乳と卵の鮮度を意識した「産地直結型工場」ですから。」
(いい意味で)クレイジー!
さて、次は……と、この流れてきているものはなんですか?
「それは手巻きロールのスポンジ生地ですね。焼きあがった直後のものですが」
手巻きロール! そうだ、すっかり忘れるところだった。今回の趣旨は、「手巻きロールは本当に手で巻いているのか」を調べに行くというものだったのでした。カスタードをジョッキでグイッとやりたいとか考えている場合じゃなかった。