ファンレス環境を実現できるパーツを考える
まずはマザーボードの選択だ。大前提となる条件はファンレス運用が可能なこと。そしてハイレゾ音源やロスレス音源をストレスなく再生でき、可能であればブルーレイなども視聴できる余地があること。
以上の条件から、今回はギガバイトの「GA-E2100N」をチョイスした。このマザーボードは、AMDのデュアルコアAPU「E1-2100」を搭載しており、ファンを使わずともヒートシンクのみで運用が可能。そしてDirectX11に対応したグラフィックスコア「Radeon HD 8210」を搭載している点がポイントだ。HDMIポートは4K解像度出力にも対応しており、将来的に高解像度テレビに接続することも可能だろう。CPU動作クロックこそ1.0GHzとそれなりだが、優れたGPUを内蔵しているぶん、マルチメディア再生には適している。
AMDのデュアルコアAPU「E1-2100」を搭載した「GA-E2100N」。パッケージも非常に小さい |
mini-ITXながら、標準サイズのメモリが利用できるのがうれしい。SATA3.0端子は2基、またPCIスロットも備えている |
加えて、ファンレスでありながら、GIGABYTE独自の品質基準である「Ultra Durable」に準拠する点も特徴。寿命50,000時間のコンデンサや高い温度環境でも安定動作可能な構成のMOSFETを採用したほか、従来のICと比較して静電気放電に対する抵抗が約3倍強い高品質ICマイクロチップを搭載する。
I/Oの様子。HDMIおよびVGAによる映像出力が可能。シリアル・パラレルポートを備えているのも特徴だ |
内蔵APUは、標準で取り付けられているヒートシンクのみで冷却が可能。ファンレス環境を簡単に構築できる |
次の検討はケース。オーディオ用PCを名乗るからには、まずは見た目から入りたい。いかにもPC然としたスチールケースを除外しつつ選択したのは、ちょうど編集部の片隅に眠っていたabee「acubic S10」。3mmという肉厚なアルミパネルと剛性の高いスチールシャーシは、高級感があるだけでなく振動を抑える効果も期待できそうだ。また電源基板ユニットを内蔵しており、最大出力84WのACアダプターが付属しているため、電源ファンのノイズもゼロ。こんな上質のケースをその辺に転がしておくこと自体が損失であるからして、心置きなく接収することにする。
HDDの書き込み音も騒音源なので、当然ストレージにはSSDをチョイス。メモリは動作すれば問題ないため、標準的なDDR3 1600MHzメモリを4GB×2枚、計8GB用意した。光学ドライブは「acubic S10」の仕様上、スリムドライブかつスロットイン型でなければ搭載できないので、映像メディアも楽しむ可能性も踏まえてパナソニックの「UJ-265」を選択した。BDXLの読み書きにも対応しているため、オーディオ再生時以外でも使い道ができるだろう。これでPCの構成に必要なパーツはすべて揃ったことになる。ちいさな「GA-E2100N」を四苦八苦しながらケースに取り付け、最後に3mmのアルミ天板を閉じれば、後はWindows8.1をインストールするだけだ。