―― 3D V-NANDは、まさにNANDフラッシュの大容量化の限界を打ち破るわけですね。
岡田氏「はい。さらに、3D V-NANDには大容量という点以外にも、『高速』『高耐久性』『高い電力効率』というメリットがあります。
書き込み速度に関しては、従来の2D NANDの約2倍です。2D NANDはセル間干渉の対策として、ベリファイを繰り返しながら書き込みを行いますが、セル間干渉を無視できる3D V-NANDでは、ベリファイの回数は半分で済みます。よって、書き込みが約2倍に高速化されるわけです。
耐久性については、2D NANDの約10倍に向上していまして、2D SLC NAND採用のSSDを上回るほどです。電力効率についても、書き込み時間が半分になるので、約2倍に向上しています。このように、3D V-NANDはいいことずくめのフラッシュメモリなのです。」
2D NANDでは、プロセスルールが20nm未満になるとセル間干渉が無視できなくなり、1回の書き込みで2回のベリファイを行う必要がある(データの信頼性を高めるため) |
それに対し、3D V-NANDはセル間干渉をほぼ無視できるため、ベリファイは1回で十分となり、速度が約2倍向上する |
―― サムスンは、今後プロセスルールの微細化はしないということでしょうか?
岡田氏「低容量品は10nm台半ばのプロセスルールを用いた2D NANDフラッシュの量産を開始しています。大容量が必要なSSDには、今後はすべて3D V-NANDを使います。
今回の新製品(Samsung SSD 850 PRO)で象徴的なのが、10年保証という長い保証を付けているということです。実際にパソコンで使うぶんには、おそらく10年もの保証は必要ないでしょう。ですが、信頼性の高さ、品質の高さを裏付ける証として、10年保証を付けています。」