空冷ユニットメーカー「Noctua」のファンを全面的に採用

ここまでは「Silent-Master Pro X99」の各パーツのディテールについて紹介した。それを踏まえたうえで「Silent-Master Pro X99」の最大の特徴である静音性について確認しよう。

サイコムがうたう"超静音"の最大のカギとなるパーツは、ファンだ。ここまでの写真で、独特のブラウンカラーが何度か目に入ったと思うが、これは空冷ユニットメーカー「Noctua」製のパーツ。今年の夏からサイコムが積極的に取り入れており、8月には取り扱い記念キャンペーンも行われた。このNoctuaのCPUクーラー・NH-U12S、冷却ファンNF-A14 ULNおよびNF-S12A ULNを、1ページ目で紹介したAntec P100に取り付けることで基本的な騒音を減らす。そしてさらに、ASUSのグラフィックスカードSTRIX-GTX750TI-OC-2GD5およびCorsairの電源ユニットRM650の備えるセミファンレス機能によって、低負荷時のノイズを軽減しているというわけだ。なお、マザーボードのUEFI-BIOSからファンの設定項目を見たところ、特別な設定は行われていない。

Noctua製のCPUクーラーとファンが「Silent-Master Pro X99」の静音のカギを握っている

排気用としてケース背面に取り付けられたNF-S12A ULN(左)と、CPU冷却用ヒートシンクに取り付けられたNF-F12 PWN(右)

ASRock Extreme4のUEFI-BIOS画面。サイレントモードとスタンダードモードを組み合わせた、ごく一般的な設定になっている

静音性能の高さに、簡易騒音計はほとんど反応せず

この「Silent-Master Pro X99」を実際に試用してみると、通常の家庭やオフィス環境では電源が付いているかどうかを、音からは判断できない。静音性能を測るために簡易的な騒音計を用意し、深夜のオフィスでケース前面から10cmの距離から計測してみたのだが……。結果としては、電源投入時とベンチマーク実行時を比較しても、ほとんど違いを見出すことができなかった。用意した簡易騒音計の下限が30dBであるため、防音処理を施していない一般的な部屋の中では、かき消されるほどの音しか発していない本機は、実質ほぼ無音という結果になった。

簡易騒音計を使ってケースのフロント10cmの距離で計測。PCに電源を投入する前の周囲のレベルは30.9dB(左)、3DMarkを実行した際のレベルは31.3dB(右)

背面から10cmの状態では、リアファンやグラフィックスカードの風切り音によってようやく差が現れたものの、ちょっとした外部の騒音により、簡単にこの数値を上回ってしまう状態。「Silent-Master Pro X99」が静かすぎて、一般的な環境や簡単な計測器ではまともな測定が行えないようだ。

簡易騒音計を使ってケースのリア10cmの距離で計測。PCに電源を投入する前の周囲のレベルは30.9dB(左)、3DMarkを実行した際のレベルは32.6dB(右)

それもそのはず、サイコムが公的第三者機関を利用して兄弟機「Silent-Master Pro Z97」を検証した結果を見ると、最もレベルが上がった状態で30.4dB。つまり今回の測定値以下だからだ。背面の測定では距離が近いためレベルが上がったものの、実際にはそんな距離でPCを使う状況はまずありえない。この静音性能の高さは、確かに"超静音"の名にふさわしいものだろう。

サイコムが公的第三者機関を利用して行った静音検証の実施環境

無響室という特別な環境において、最大でも今回の測定値を下回る30.4dB。一般環境では耳でも計測器でも、そう簡単に差がわからないのも当然というわけだ

次ページでは「Silent-Master Pro X99」が備える、6コア/12スレッドの処理能力をベンチマークで確認していこう。