7月に開催された、韓国サムスン電子のSSD技術や新製品に関する発表会「2014 Samsung SSD Global Summit」において、コンシューマ向けの2.5インチSSD「Samsung SSD 850 PRO」をはじめとした新世代SSDが発表された。その際に同時発表されたデータセンター向けモデルが「Samsung SSD 845DC EVO」および「Samsung SSD 845DC PRO」だ。
Samsung SSD 845DC EVO 480GB(上)、Samsung SSD 845DC PRO 400GB(下)。いずれも7mm厚の2.5インチSSDとなる |
表のデザインはまったく同一。「Samsung SSD 850 PRO」に施されていたレッドのスクエアマークのような目を引く特徴はない |
ともにデータセンター向けである"DC"を冠したモデルで、速度低下の少ない安定した性能と高耐久を主眼とした設計が行われている。両製品の大きな違いは、使用されているNANDフラッシュにある。「Samsung SSD 845DC EVO」は低コストの3bit MLC(TLC) NANDフラッシュを、「Samsung SSD 845DC PRO」には7月に発表されたばかりの3D V-NAND技術を用いたMLC NANDフラッシュを搭載している。
■ 製品スペック一覧 | |||||
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製品名 | Samsung SSD 845DC PRO | Samsung SSD 845DC EVO | |||
容量 | 800GB | 400GB | 960GB | 480GB | 240GB |
フォームファクタ | 2.5インチ | ||||
インターフェース | SATA3.0(6Gbps) | ||||
コントローラ | MDX | MEX | |||
NAND フラッシュ | 3D vertical NAND(V-NAND) | 3bit MLC (TLC) NAND | |||
シーケンシャルリード | 530MB/s | ||||
シーケンシャルライト | 460MB/s | 410MB/s | 270MB/s | ||
ランダムリード(4KB, QD32) | 92,000IOPS | 87,000IOPS | |||
ランダムライト(4KB, QD32) | 51,000IOPS | 50,000IOPS | 14,000IOPS | 12,000IOPS | |
QoS 99.90%(4KB,QD32) | リード:0.6ms/ライト:5ms | リード:0.6ms/ライト:7ms | |||
QoS 最大(4KB, QD32) | リード:3ms/ライト:12ms | リード:3ms/ライト:8ms | |||
レイテンシ(シーケンシャル/4KB, QD1) | リード:45us/ライト:40us | リード:55us/ライト:45us | |||
レイテンシ(ランダム/4KB, QD1) | リード:110us/ライト:50us | リード:115us/ライト:55us | |||
平均故障間隔(MTBF) | 2,000,000時間 | 2,000,000時間 | |||
Drive Writes Per Day(DWPD) | 10回 | 0.35回 | |||
Tera-byte Written(TBW) | 14,600TBW | 7300TBW | 600TBW | 300TBW | 150TBW |
最大消費電力(読み込み時) | 1.7W | 2.7W | |||
最大消費電力(書き込み時) | 3.3W | 3.1W | 3.8W | ||
最大消費電力(アイドル時) | 1.0W | 1.2W | |||
保証期間 | 5年間 |
データセンター向けSSDコストパフォーマンスモデル「Samsung SSD 845DC EVO」
「Samsung SSD 845DC EVO」で採用されているTLC(Triple Level Cell)NANDフラッシュは近年採用モデルが増え続けているものの、データセンター向けとして発売されるのはこのモデルが初めて。ターゲットとしているのはデータの読み込み比重の高いコンテンツ配信サーバーのような用途だ。3bit MLC (TLC)が2bit MLCに比べて耐久性が不利になるのは書き込みであるため、デメリットをあまり気にせずに低コストで大容量と読み出し速度を実現できるというのが特徴となる。書き込み保証容量は960GBモデルで600TBW(Tera Byte Written)、480GBモデルが300TBW、240GBモデルだと150TBWだ。DWPD(Drive Write Per Day)は0.35回となり、5年間の保証が付く。
3D V-NAND技術を用いたMLCを搭載した「Samsung SSD 845DC PRO」
もう一方の「Samsung SSD 845DC PRO」は、高耐久と長寿命を実現した最新の3D V-NANDフラッシュを採用し、アプリケーションサーバーやデータベースサーバー用途にも耐えられるモデルだ。注目の3D V-NAND技術については、「2014 Samsung SSD Global Summit」のレポートで紹介しているので、詳しくはそちらを確認していただきたい。こちらはデータの頻繁な書き換えが行われることを前提としたモデルとなっており、その書き込み保証容量は800GBモデルが14,600TBW、400GBモデルで7,300TBW。DWPDは10回にも及ぶ。保証期間は「Samsung SSD 845DC EVO」同様、5年間だ。
Samsung SSD 845DC PRO 400GBでは基板の裏面にコントローラやNANDフラッシュが集約されている。コントローラは「S4LN021X01-8030」。「Samsung SSD 840 PRO」で採用されていた第4世代の「MDX」だ |
裏面に主要チップが集約されている分、表面はシンプル。15基のタンタルコンデンサにより、停電などの予期せぬ電力喪失時にデータを保護できる |
この2製品の特性の違いはアクセス速度にも表れており、読み出し速度は同等だが、書き込みでは「Samsung SSD 845DC PRO」が大きく勝るという。特にランダム書き込みにおいてその差が顕著に表れるそうだ。今回は実際にベンチマークなどを利用してその特性を確認していくことにしよう。