ここからは、実際にDR-C225Wを試用したユーザーの声を紹介しよう。都内在住のAさんは旧モデルのDR-C125ユーザーで、もっぱら書籍をデジタルデータ化する「自炊」に活用しているとのこと。彼に新旧モデルの使い勝手の違いについて話を聞いた。
「スキャン性能自体は変わりませんが、スキャンソフトが格段に使いやすくなっていますね。旧バージョンもシンプルで好みだったんですが、新バージョンでは取り込み結果やサムネイルが大きく表示されますし、よりわかりやすくなっていて好感が持てます」
Aさんが自炊するのは、主に小説やコミックとのこと。数百冊あった大量の蔵書を電子化し、PCと7型のタブレットに保存しているそうだ。
「前はジョブ(取り込み設定からスキャン後の処理までをまとめた一連の流れ)を10個までしか設定できませんでしたが、新しいCaptureOnTouchでは99個まで作れるようです。スキャンモード、出力先、お気に入りを合わせてですが、十分な数ですね。試しに30個作ってみたところで、とりあえずやめておきました(笑)。これだけ作れるなら、モノクロとカラーのプリセット以外に新刊用や古本用も用意できそうです」
Aさんは取り込む書籍の内容に応じてdpiを変更しているほか、状態に応じて明るさやコントラストも変えて読みやすく加工しているという。たとえば状態の良くない古本では変色した紙の色まで取り込んでしまうため、明るさを強めにしているそうだ。これまでは保存できるジョブの数に制限があったため必要に応じて設定を変えていたが、新バージョンのCaptureOnTouchなら一度作った設定をそのまま残しておけるため、作業を簡略化できるとのことだ。
「スキャンの失敗を手軽に修正できる点もいいですね。以前のCaptureOnTouchでは取り込み結果を編集できず他のソフトを使う必要がありましたが、今回は傾きの調整やトリミングも可能になっている点が素晴らしいと思います」
旧バージョンのCaptureOnTouchではページの向きを変えられる程度で、細かい修正には対応していなかった。一度PDFで保存してから、付属のPDF編集ソフト「eCopy PDF Pro Office」で加工する必要があったのだ。だが新バージョンではPDFに保存する前にスキャン結果をそのまま編集できる。Aさんによると、特に便利なのは複数ページを一括で修正できる点とのこと。たとえば裁断時のミスでページの片端に跡がついてしまった場合、奇数または偶数ページだけを選択して不要な部分をトリミングで取り除けるという。
PDFとして取り込んだ書籍のデータは、Dropboxのフォルダーに保存しているそうだ。これで自動的にクラウドにアップロードされ、さらにスマートフォンやタブレットでも共有できるようになる。PC側で保存しているファイルはあくまでもバックアップ用で、閲覧には7インチのタブレットを利用しているらしい。確かにこのサイズのタブレットは持ち運びやすく、画面も比較的大きくて文字が読みやすい。通勤中に読書を楽しむのに向いているだろう。
最近は電子書籍の刊行数が増えてきてはいるものの、電子化されていない書籍のほうが圧倒的に多い。既刊本の電子化を待つよりも、紙の書籍を自炊したほうが有利な場合もあるはずだ。そのようなときこそ、自炊にも役立つ機能をふんだんに備えたDR-C225Wの出番と言えるだろう。
ちなみにAさんは前モデルのDR-C125を使い続けて2年半になるそうだ。こまめにメンテナンスをしていたのでまだまだ利用できるのだが、DR-C225Wも購入する予定だと言う。その理由を聞いてみたところ、「2台あればスキャンできる本の数も倍になるから」なんだとか。スキャン効率の上がったDR-C225Wなら、ひょっとすると2倍以上の結果となるかもしれない。それはさておき、2台のドキュメントスキャナを活用するとは、まさに筋金入りの自炊派と言ったところだ。