液冷キットを利用して環境を整える
それでは「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」の冷却能力を最大限に発揮させるために、まず液冷システムを構築しよう。液冷の仕組みは、冷却液によって対象の熱を吸収し、その冷却液を循環させて冷やしやすい場所に移動させて大気に拡散させるというものだ。そのためには、空冷では使用しないいくつかのパーツが必要になる。
今回はスロベニアの液冷パーツメーカー「EK Water Blocks」の液冷キット「EK-KIT H3O 240 HFX」を用意した。PC液冷化の目的は静音性の向上、高冷却、冷却用ユニットをケース外に出したいなどとさまざまかと思うが、こちらの製品は、より温度を下げるためのものと考えていいだろう。
本格液冷システムを構築するためのパーツは、大きく分けて4つ。冷却液をためるためのリザーバー、冷却液を循環させるためのポンプ、冷却液を冷やすためのラジエーター、そして対象から熱を吸収するために設置する液冷ブロック(水枕)だ。
またこのほかに、ラジエーターから効率よく熱を大気に拡散させるためのファン、パーツ間をつなぎ液体を循環させるためにチューブ(水を通す管)や、チューブを接続するためのフィッティング(継ぎ手)、そして冷却液(クーラント)などが必要となる。このうちのグラフィックスカード用液冷ブロックが、「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」には初めから搭載されていることになる。
それでは各パーツの組み立てを始めるが、組み立て前にまずパーツ全体を洗浄しておこう。不純物の混じっていない精製水が望ましいが、水道水でもかまわない。液冷パーツメーカーでも洗浄は行われているが、冷却液に不純物が混じるとトラブルが発生する確率が上がるので、後々のことを考えるときれいにしておくに越したことは無い。
冷却液をためるリザーバーのセットアップ
まずはリザーバーから組み立てを始める。使用する予定のないホースソケットにプラグをつけて栓をし、続いてチューブを接続する予定の箇所にフィッティングをつける。続いてアクリルカバーを外し、内部に渦の発生を防ぐアンチサイクロンプレートを差し込もう。
不純物が気になるなら、濾過用のポリエチレンフォームを挿入しても良い。またケースなどへ取り付けるためのパーツが用意されている場合もあるので、こちらも必要に応じて組み立てておこう。
冷却液を循環させるポンプのセットアップ
次にポンプのセットアップだが、ひとまずはフィッティングをつけるだけでOKだ。ただしリザーバーによってはポンプと直結できる設計を採用した製品もあるため、その際はホースソケット部分を一度取り外すなど、ひと手間が必要になる。
なおこちらのポンプの電源はファンと同じ3ピン端子のついたケーブルで接続するが、この端子は絶対にマザーボードのファン用端子に直結しないでほしい。過電流が流れ、マザーボードが故障してしまう可能性がある。
冷却液を冷やすラジエーターのセットアップ
続いて、ラジエーターのセットアップに移る。こちらもまず、使わないホースソケットをプラグで栓をし、チューブ接続箇所にフィッティングをつける。そしてラジエーターから熱を拡散させるためのファンを取り付けよう。ファンの風向きをラジエーターに向けて送るか、ラジエーターからの吸い込みにするかは、設置箇所によって変更してほしい。今回はラジエーターに向けて送るように取り付けた。
「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」のセットアップ
最後に「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」のセットアップだ。側面のホースソケットについているカバーを回して外し、代わりにフィッティングを接続しよう。今回使用しているフィッティングはソケットからチューブがまっすぐ伸びるストレートタイプだが、ケースによってはチューブがサイドパネルに干渉するかもしれないので、その場合はL字型のフィッティングや中間継ぎ手などを別途用意するといい。
各パーツを接続する
各パーツの組み立てが完了したら、パーツ間をチューブで接続する。チューブは切断されていない状態で販売されているので、ケースへ組み込みながらチューブを切って長さを調節していく。
ギリギリの長さにすると設置時にチューブが折れ曲がって液体がうまく流れなくなったり、最悪の場合液漏れにつながったりする場合もあるので、余裕を持った長さにしよう。長さが決まったらチューブに袋ナットを通してからフィッティングの奥までしっかり差し込み、袋ナットを締めよう。
冷却液を充填し、各パーツに行き渡らせる
各パーツの接続が完了したら、冷却液の充填を行う。とはいっても一度ではシステム全体に行き渡らせることができないので、ポンプを動かして循環させながら行う必要がある。
マザーボードに接続せずに電源を作動させるには、ATX24ピン電源コネクタの4番と6番をクリップなどでショートさせればよいが、感電には十分に気を付けてほしい。安全に行いたいなら、スイッチケーブルにより手元で電源をオン/オフできるようにするサプライパーツなどを利用しよう。これで冷却システムのセットアップは完成だ。
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