ASUS担当者が語る「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」
──「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」の特徴を簡単に教えてください
ASUS担当者:2014年3月現在(ASUS調べ)、日本で販売されているグラフィックスカードの中で、唯一液冷対応クーラーを搭載する本格液冷対応グラフィックスカードということが最大の特徴です。通常、グラフィックスカードを本格液冷で使用するためにはグラフィックスカード用の液冷ヘッドが必要です。
しかし、液冷ヘッドは入手が困難かつ情報が少ないため、かなりの強い意志を持って挑戦しないと液冷化できないのが現状です。その点、ASUSの「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」であれば、液冷対応クーラーを最初から搭載しているので、既存の液冷システムに簡単に組み入れることができますし、新規で液冷PCを組む場合でも悩むことなく導入できます。
──POSEIDONシリーズはどのようなユーザー層をターゲットにしたものですか?
ASUS担当者:液冷PCを自作したい人が一番のターゲットです。液冷というとCPU用の簡易液冷クーラーが人気ですが、ASUSの調査によると、CPUを液冷化した人の多くはグラフィックスカードも液冷化したくなるようです。実際、CPUよりもGPUのほうが発熱量が多いので、液冷化のメリットはグラフィックスカードの方が大きいわけです。
液冷CPUクーラーで、せっかくCPUが静かに安定した温度で動作させられるようになったのに、グラフィックスカードが轟音を鳴らしていたらCPUを液冷化したことによるメリットが半分くらいなくなってしまいます。
そこで、簡易液冷クーラーで液冷に足を踏み入れた人に本格液冷に興味を持っていただき、ASUSのPOSEIDONシリーズで完全液冷化を目指してほしいというのがわれわれの願いです。もちろん、現在本格液冷を使用している人にもお勧めです。
──簡易液冷ではなく、あえて液冷+空冷ハイブリッド仕様にした理由を教えてください。
ASUS担当者:はっきり言って、簡易液冷クーラーでは冷却性能が足りないからです。ハイエンドグラフィックスカードの消費電力は250Wを超えており、GPUの温度も平気で80℃を超えてきます。「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」が搭載する「NVIDIA GeForce GTX 780」も、リファレンス仕様での消費電力は250Wです。
CPU用の簡易液冷クーラーを見ていただければ分かりますが、簡易液冷クーラーはPCケース内への設置が前提となるので、多くのラジエーターが120mmサイズ、大きくても240mmサイズになります。しかし、グラフィックスカードを冷却するためには120mmサイズのラジエーターでは小さすぎます。240mmでもあまり余裕がありません。せっかく液冷化するのなら、液量を多くして液温を安定させられる本格液冷システムで組むべきだと思います。
もちろん簡易液冷クーラーのほうが手軽なので、そちらを望む声が多いということも理解しています。しかしそこは自作PCなので、より高性能で難易度が高いものにぜひ挑戦してほしいのです。
また、本格液冷であってもラジエーターをPCケース内に設置したい人や、小さなラジエーターを使いたいという人もいます。「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」では、液冷クーラーに空冷クーラーを組み合わせたハイブリッド仕様にすることで、小さなラジエーターを使用した場合でも十分な冷却を行えるようになっています。
この「DirectCU H2O」クーラーは、ASUSの通常の「DirectCU II」クーラーと同じ性能を持っているので、液冷を一切使用せずに空冷のみで使用した場合でも、冷却性能にはまったく心配がありません。ただし、小型の液冷システムで使用した場合には液冷で冷却が追い付かない分は空冷で冷却することになるので、当然動作音は大型液冷システムを使用した場合よりも大きくなります。
できれば、空冷クーラー部分にあまり仕事をさせないように、十分な液量を持った液冷システムで使っていただき、液冷PCの素晴らしさやメリットを100%得てほしいですね。
──その他に「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」でこだわったポイントを聞かせてください。
ASUS担当者:ASUSのオリジナルデザイングラフィックスカードでは、厳しい要求を満たすためにコンデンサやコイルにまでASUSがカスタマイズしたオリジナル部品(Super Alloy Power)を使用しています。それは本製品でも同様で、コイルとMOSFETにSuper Alloy Powerを搭載しています。コイルは、使用する素材の改良と高密度製造によって、動作温度の最高35℃の低温化と、ハイエンド製品に多いコイル鳴きを抑えています。MOSFETは対応電圧を30%拡大しており、余裕のある動作が可能となっています。
また、Super Alloy Powerとは別のものですが、-70℃~125℃の環境で動作することができるBlack Metallic Capacitorという高耐久コンデンサを使用しています。グラフィックスカードは高温になるので、コンデンサの耐久性は製品寿命に直結します。
ほかにも、GPUの裏面に搭載するGPU用コンデンサには、チップコンデンサのPOSCAPを搭載しました。このコンデンサは、低ESR(低抵抗)かつ優れた高周波数特性が特徴で、特にオーバークロック耐性に良い結果を与えます。このように、液冷という尖った特徴だけでなく、部品レベルからこだわって設計した製品であるということが、本製品のもう1つの大きな特徴です。
とは言え、ASUSのオリジナルカードは同じようにすべて部品レベルから徹底した性能向上を行っているので、そこはASUSの他のモデルと変わらないともいえます。またその結果、ASUSのカードは少々お高いという特徴についてもこの製品も同様に持ってしまうことになりました。しかし、その価格分の性能向上と安心感、何より魅力をこの製品が持っているということは自信を持っています。
──GeForce GTX 780 TiやGeForce TITAN BLACKといったハイエンド製品や、Radeon製品などでPOSEIDONシリーズ発売の予定はありますか?
ASUS担当者:現在のところは未定です。液冷クーラーの開発自体はいろいろな可能性を含めて続けていますが、具体的な製品が出てくるかどうかは「POSEIDON-GTX780-P-3GD5」の反響次第というところです。ぜひご意見をお聞かせください。
──今後、日本で販売を検討しているR.O.G.ブランド製品がありますか?
ASUS担当者:現在の超ハイエンドとしてのR.O.G.ブランド製品は変わらず維持しつつ、価格面でもう少し購入しやすいR.O.G.製品を検討しています。また、具体的なことは言えませんがゲーマー向けのPC周辺機器なども検討していますので、ご期待ください。
「自作PC」の楽しみ方を軸とした製品展開に対して、並々ならぬ情熱が伺える。いまではノートPCやスマートフォン、タブレット、ディスプレイやプロジェクター、その他あらゆるデジタル機器を販売しているASUS。
しかしマザーボード最大手、そしてゲーミングブランドの立役者として、自作PCユーザーの視点に立ったモノづくりは変わらず続けられているようだ。それでは次ページからは、液冷システムへの組み込みと検証を行ってみたい。
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