省エネを語る上で、まず注目しておきたいのがCPUだ。本機に限ったことではないが、最新のCPUは性能を大幅に伸ばしながら、消費電力が抑えられるのが大きな特徴となっている。今回の試用機では、「ESPRIMO FH55/DN」で選択可能な2つのCPUのうち、上位にあたる「Core i5-2520M」を搭載。このCPUを、2007年に登場したノートPC向けのデュアルコアCPU「Core 2 Duo T7800」と比較してみよう。

Core 2 Duo T7800の動作クロックは2.40GHzで、Core i5-2520Mの2.50GHzとほぼ同じ。TDP(熱設計電力量)も35Wと同じで、消費電力に変化はないように見える。しかし、Core i5-2520Mは自動クロックアップ機能「インテル ターボ・ブースト・テクノロジー 2.0」によって最大3.20GHzまでクロックを向上させられるのに加え、Hyper-Threadingテクノロジーにも対応しているため4スレッドまで同時に処理が可能(Core 2 Duo T7800は2スレッド)、さらには高速なエンコードエンジンを持つGPUまで内蔵している。同じTDPでありながら、大幅に性能・機能強化が行われているのだ。

また、「ESPRIMO FH」シリーズならではといえる省電力ポイントのひとつが、「LEDバックライト搭載液晶」だ。液晶ディスプレイではこれまでバックライトとして蛍光管を採用していたが、それをLEDにすることで消費電力を大幅に削減。LEDは蛍光管に比べて、本体を薄くしやすく、熱が少ないというメリットもある。水銀を使用していないので環境にも優しい。さらに、「ESPRIMO FH」シリーズでは高い色の再現度を実現し、動画もスムーズに再生できる高速応答の「スーパーファインVX液晶」となっており、省エネだけではなく写真や動画の鮮やかな再生も実現している。

さらに便利なのが、本体の上部に搭載されている「ECOボタン」。これは、ワンタッチでPCを省電力モードに移行できるというもの。省電力ユーティリティを利用すれば、ディスプレイの明るさを落としたり、メモリカードスロットや有線/無線LANを無効にしたり、オーディオを無音にしたりと、ECOボタンを押したとき電力をカットするデバイスを自分で選択できるのがポイントだ。例えば、ウェブサイトをのんびりと見るだけなら、ディスプレイは暗めで十分、メモリカードスロットやオーディオは必要となれば、その設定をECOボタンに割り当て、ワンタッチで省エネ動作に切り替えるといった便利な環境を作り出せる。

本体の上部にある「ECOボタン」

ECOボタンを押したときに無効化するデバイスは自分で選択できる