ThinkPadである理由~ThinkVantageデザインを受け継ぐX200

ThinkPadを語る上で欠かせないのが「ThinkVantageデザイン」だろう。ThinkPad X200も、この伝統を受け継いだモデルである。ThinkVantageデザインは、堅牢性や操作性、サポートや性能はもちろん、ThinkPadのあらゆるところで用いられているデザイン・ポリシーであるが、ここでは操作性と堅牢性を中心に紹介していこう。

まずはキーボードでのThinkVantageデザイン。ThinkPad X200のキーボード部には、他のシリーズと異なりタッチパッドが搭載されていないものの、これが無いおかげで、コンパクトノートでありながら快適な7列フルサイズキーボードが実現できている。もちろん中央にはThinkPadのトレードマークでもあるトラックポイント。今では多くのノートブックのポインティングデバイスがタッチパッドになってしまったが、トラックポイントは何度も指を滑らす必要なくポインタを移動できる。最初のとっかかりさえ超えてしまえば、効率よく思い通りの座標にポインタを移動できる高い操作性は、いまさら語るまでも無いほどの魅力だ。

ThinkPad X200も伝統の7列キーボードを搭載するモデル。ポインティングデバイスはトラックポイントで、タッチパッド全盛の今では慣れを要するかもしれないが、この操作性は是非試してみて欲しい

また、近年のThinkPadで追加されたキーボードの特徴が「耐水性」。ThinkPad X200の底面には排水口が用意されており、キーボード上にこぼした液体もすぐさま流れ落ちるよう設計されている。防水仕様ではないため、メンテナンスは必要であるものの、業務机の上ではコーヒーをこぼすようなシーンは容易に想像できる。被害を最小限に留めるという観点から重要な技術であることは言うまでもない。

ThinkPadの底面にあるのが排水口。たとえキーボード上に液体をこぼしてもここから排出され、内部を保護できる

そして、通勤時のラッシュによる圧迫、落下などに対する耐衝撃性など、堅牢性はThinkPadが世界中のユーザーに支持される一番のポイントだろう。ThinkPad X200はマグネシウム合金を用いた頑丈なトップカバー、ボトムカバーを用いている。

ThinkPadの堅牢性を表すキャッチフレーズは、「ThinkPadはそのまま、お持ちください」。一般的にはノートブックを保護バックに包み、それをバッグに収めて衝撃から守るところ、ThinkPadはそのままカバンに入れて大丈夫な堅牢性を持つというのがこのキャッチフレーズの意味するところだ。ただ、堅牢性は心配ないものの、もちろん裸で持ち歩いたらボディに傷が付いてしまう。いつまでもキレイなままのThinkPadを使いたい筆者的には、保護バッグは用意しておくにこしたことは無いと思う。

ところで、PCをモバイルするということは、それだけ液晶パネルの開閉をする回数が多いということになる。現行ThinkPadの全シリーズで採用されているメタルヒンジは、ハードモバイラーにとくにチェックして欲しい部分である。金属による材質的な高耐久性はもちろん、開閉試験を経て数千回の開閉に耐えられるよう設計されているというのが心強いポイントだ。また、液晶パネルの開閉に関しては、異物を挟み込むことを防ぐラッチの存在にも注目しておきたい。

ThinkPad X200のメタルヒンジ。筆者が以前使っていたモバイルノートでは、内部ハードウェアより先に液晶ヒンジがヘタってしまい、ネジ止め剤でだましだまし使っていた。こうした経験から、モバイルノート選びの際は地味ながらこのヒンジ部分の強度も重視している

しっかりと液晶パネルを閉じ、異物の混入を防いでいるのがラッチ。他社製品では少なくなってきているが、ThinkPadでは今でも全ての製品でラッチを採用している。ひと手間かかるようにも思えるかもしれないが、ラッチはひとつなので片手で開閉作業できる。またこのラッチの開閉音が、何か「仕事を始めるぞ」というような心が引き締まる音なのだ