オリジナルを生み出せるサイコムという会社
さて、同社の特徴はオリジナルパーツの開発にもある。今回の訪問でもそういったパーツを見ることができたが、その時に見つけたいちばんの目玉がPCケース「SY-J624」。スチール製のミドルタワーATXケースで、通常よりも厚みのあるスチールを贅沢に使っているほか、エッジは丸め加工され、作業中のけが防止にも気を使っている。冷却ファンはフィルタ付属のラバーマウントで前後12cmの大口径静音仕様。5インチベイ4基に3.5インチ2基、シャドウベイ5基という構成は拡張性も高い。ケース側板およびファンはスクリューレスタイプ、ドライブはラバーレールでマウントする仕組みで、シャドウベイ部分は回転スライドする機構を設けており、こうしたところでもメンテナンス性を重視している。
外見はシンプルかつオーソドックスなデザインだが、多くのPCケースを試してきた自作マニアでもニンマリしてしまう様なツボを押さえた設計。また、オプションでサイドファンを2基、あるいはサイドファンとHDDファンを追加できるサイドファン冷却ユニットも用意されている。標準ケースとして、基本構成からBTOでパワーアップしたハイエンド構成までサポート可能な柔軟性を備えた構造だ。
細かいところだと、なんと出荷梱包用の段ボールにも工夫があったりする。従来の段ボールは横幅が広く、ミドルタワーサイズのケースではアパート・マンションの玄関いっぱいという大きさだった。これは改善する必要があるだろうとのことで、新しく採用されたのが幅を抑えた代わりに深さのある段ボールだ。これなら筆者宅のような狭い玄関でも大丈夫。ただ河野氏によればこれもまだ試行錯誤の段階で、例えば配送業者がちゃんと縦に扱ってくれるのか、それが輸送事故に繋がらないかなど、検討しなければならないことがあるという。ユーザーの反応を見たいとのことだが、こんなところにまでこだわっているのがちょっと嬉しい。
こうしたアイデアが生み出せる、独自製品を作ることができる、というのはメーカーの信頼性という面でも重要なポイントだ。ノウハウが無ければアイデアは出せないし、アイデアがあっても製造メーカーとのパイプが無ければ実現しない。今回の訪問では、10周年を迎えた現在でも、日夜試行錯誤を怠ることなく、日々進化しているサイコムの頼もしさを確認することができた。
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