コーディネーターとして

――コーディネーターとして『総天然色ウルトラQ』に関わられるわけですが、最初はどのような形でお話を聞かれたんでしょう?

「その当時のプロデューサー岡部(淳也)さんから"『ウルトラQ』をカラーにしたいんです"と相談されたんです。江戸川由利子の衣装の3分の2以上は自前だったので、衣装に関しては母が買ってくれたとか、どこかから借りてきたとか、衣装さんの用意したものだったとか、全部憶えてるんですよね。だから、衣装の色の監修はできますというお話をしました」

――江戸川由利子の衣装のみの監修というお立場でいらしたんですか?

「ただ、やっぱり当時のスタッフ、キャストの方たちにカラー化の作業現場に入っていただくわけにいかないので、若いスタッフと一緒に監修の中に入って、西條さんにお電話してジャンパーの色を聞いたり、(後にスーツアクターとしてウルトラマンの役も務められた)古谷敏さんにラゴンの色はどんな色だったかとか、監督の中川晴之助さんにカネゴンの繭の色を聞いたり、結局、最後はそういう役になってましたね」

――それは、桜井さんならではのお役目でしたね

「カラライズの監修は、非常におもしろかったです。特に円谷プロの若いスタッフたちと一緒にやって、彼らが、当時のバスの色とか警官や自衛官の制服の色とか図書館に行って調べてきて、"この色ですか?" "そう、こんな色!"なんていう連携プレーができて、楽しかったですね」

――そのほかには、コーディネーターとして、どのようなお仕事をされておられますか?

「全国巡回するウルトラマン関連の美術展の企画、コーディネートなどもしています。最近では富岡市立美術博物館で開かれていた『ウルトラマン創世紀展』(平成25年2月2日~3月24日)ですね。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの作品に関するものを展示しましょうというので、決まってからは展示品調達の調整や、トークイベントのゲストの方にオファーして現場に落とすという。あと、『ウルトラヒロインズ』といって……」

――今年出版されたムック本ですね

「知り合いが大阪万博のコンパニオンの方たちの衣装の変遷の本を持ってこられて、"これで、ウルトラヒロインやれないかな?"っていうので、若いスタッフたちと出版社を探したら、角川書店さんが手を上げてくださって」

――そもそもコーディネーターになられたのは、どのようないきさつだったのでしょうか?

「コーディネーターになっちゃいなさいっておっしゃったのは飯島(敏宏)監督なんです。飯島監督、中野稔さん、美術の池谷仙克さんといった方たちと『ウルトラの揺り籠』というDVDを撮っていたときに、コーディネーターとナビゲーターをやらざるを得なくなって」

――桜井さんが『ウルトラQ』『ウルトラマン』の当時の関係者の方々をお訪ねになる作品ですね?

「そのときは、飯島監督の指令の下で動いてたんですけど。ですから、今ここにいるのは飯島監督のせいです。"おかげ"じゃなくて"せい"ですよ(笑)」

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