フジ・アキコとして
――『ウルトラマン』の撮影では、スーパーガンが重くて扱いづらかったと伺いましたが
「すごく重たかったです。スーパーガンを出して、こういうふうに(ホルスターから抜いて肩の上まで持ち上げ、そのまま前に伸ばす動きをして)構えろ、っていうんですけど、重たいから、(構えたときに)私だけ銃口がグッと下がっちゃうんです。何度やってもだめで何度もリテイクを出してしまって、怒られちゃって。銃口の先にスーパーガンの光線を合成するんですけど、みんなは上がってるのに私だけ下がってると上手く合成できないらしくて、光学撮影の中野(稔)さんに、すごく怒られたんです(笑)。"ロコ、ダメじゃないか、上げてくれなくちゃ!"って。それから左腕で支える形の撃ち方になったんです」
――ところで、やはりお書きになった『ウルトラマン青春記 フジ隊員の929日』というご本によれば、東宝撮影所のアフレコルームで初めてバルタン星人の合成シーンをご覧になったそうですが……
「アフレコのときに、一瞬だけバルタン星人の映像を映してくださったんです。それがあんまり良くて、みんなでビックリしちゃって。私は、"こんなに見事な合成シーンができるなんて、すごいなあ"と。そしたら、キャップ(小林昭二さん)がみんなを呼んで、"あれだけ美しいんだから、俺たちもちゃんとやらないと特撮に負けるぞ"っていう話をされて、同感でしたね」
――小林さんのお仕事に対する姿勢がうかがえるお話ですね
「新劇出身だからでしょうか、芝居に対してすごく真面目なんですよ。蝮(毒蝮三太夫、当時・石井伊吉)さんは、しょっちゅうギャグ飛ばしたりしてて。黒部さんとか私は、本番直前まで笑ってて。蝮さんは直前までそういうことやっててもパッと変えられるんですけど」
――劇中では、巨大フジ隊員にもなられますが、そのときはいかがでしたか?
「もちろん(普段の本編のセットから)特撮のセットに行って撮影したんですけど、印象的だったのは、特撮のセットの雰囲気。いい感じで高ぶりましたね。撮影の佐川和夫さんに、"(ビルの)ここの切れ目を叩かないと壊れないからね。分かる?"と言われたりしましたが、たぶん私を使って試行錯誤してたと思いますね、スタッフは(笑)。手探りで創ってたようなところがありましたからね」