シャープは23日、「スマートフォン新製品説明会」を開催し、目玉となる次世代ディスプレイ「IGZO」を搭載したタブレット「AQUOS PAD」を披露、フィーチャーフォンを含む7機種を発表した。説明会では、かつて携帯電話出荷シェア1位を連続獲得していた時期を振り返り、シェア奪還のための3つのポイントを示した。

シャープは次世代ディスプレイ「IGZO」で携帯電話シェアの挽回を目指す

登壇した執行役員通信システム事業本部長・大畠氏は、まず「当社の状況と取り組み方針」として、10月1日付けで行った組織変更について言及。国内情報通信営業本部を通信システム事業本部傘下に取り込んだことについて、「企画・開発から営業・サービスまで迅速かつ一貫した施策を展開できる新しい体制に変更した」と狙いを語った。

執行役員通信システム事業本部長・大畠氏

シャープの大幅な組織変更の裏には、昨今の同社を取り巻く厳しい状況がある。MM総研調べによると、シャープは国内携帯電話出荷シェアにおいて2005年度から2010年度まで6年連続1位を獲得していたものの、2011年度は3位に転落。大畠氏はその理由として「国内市場におけるスマートフォン販売の比率が高まり、海外モデルが国内市場に参入。端末の進化とキャリアサービスの変化への対応に遅れを取り、競争力が低下した」ことを挙げる。

現在のシャープのシェアは16.8%で3位

「商品力を高め、2012年度中にシェアを挽回したい」――そのためにシャープが掲げるのが、次の3つのポイントだ。

  • ユーザーの感性に訴え心地よさを感じさせるデザイン・ユーザビリティの実現
  • 先進技術を取り込んだ他社に負けない端末性能と独自機能
  • 日本メーカーとしての優位性を発揮した各キャリアサービスへのいち早い対応

この中でキーになるのは、2つ目の項にある先進技術、「IGZO」だ。

IGZOはシャープが開発した次世代のディスプレイで、従来の液晶に比べて約2倍の高精細化と約1/5~1/10という省電力を実現。IGZOを用いることで、たとえば超狭額縁タブレットや超省電力スマートフォンといった新しいユーザー体験を提供できるという。

今後、IGZOがさらに進化していけば「健康センサーつきブランケット」などの実現も夢ではないという

こうした先進技術によって、スマートフォンマーケットはどう変わっていくのか。

通信システム事業本部マーケティングセンター所長の河内氏は、スマートフォンのマーケットの今後について「LTEの普及により、クラウドサービスが格段に使いやすくなり、スマートフォンの活用がより生活に密着していく」と予想する。その上で、「日常化していくスマートフォン生活に今後より強く求められる進化」として、「技術に裏付けされたスマートフォンの基本性能の高度化による信頼と安心感」及び「お客様の視点に立った柔軟性の高い、使いやすさへの配慮」の2点を挙げ、これらをシャープの戦略方向性として打ち立てていくと話す。

通信システム事業本部マーケティングセンター所長・河内氏

ユーザーの視点で、使いやすさに配慮する――その具体例としてシャープが打ち出すのが、スマートフォンの新たなインターフェース「Feel UX」である。2012年にシャープの顔として登場したこの「Feel UX」は、グッドデザイン賞を受賞するなど、すでに高い評価を得ていたが、さらにユーザーからの要望を積極的に取り入れ使い勝手を改善。任意の背景設定や、3ラインホームの「アプリ」「ウィジェット」「ショートカット」項目の並べ替えなど、さらに完成度を高めた状態で今後の機種に搭載されるという。