ソフトバンクモバイルは19日、都内で記者会見を開き、iPhone 5にかかわる新たな施策を公表した。iPhone 5のテザリング対応、それにかかわるオプションプラン、利用料金を割り引く各種キャンペーンなどだ。それとともにiPhone 5で対応するLTEサービス開始にあたっての現状も示された。会見の内容をお届けしよう。
プラチナバンド導入後の現状
今回の開催された緊急記者会見。登壇した孫正義代表が真っ先に取り上げたのは電波問題についてだった。孫氏はまず、900MHz帯を使った、いわゆる"プラチナバンド"の現状について説明した。
説明によると、プラチナバンドを使ったサービスは、現在6,300の基地局で運営、今後も全国展開を進めていくという。現在、申請している建設計画は41,000基地局ほどで、現状は当初予定していたよりも早いピッチで対応を進めており、今年度中にはさらに2万局近くまでいく予定だ。孫氏は「お客さんにはソフトバンクの通信がよくなっていると体感してもらえると思う」と所感を述べた。
その上で、改善事例として、郊外の大学、病院やゴルフ場、山間部などの改善事例を挙げ、「同じ鉄塔で、同じ端末で、単にプラチナバンドの許認可をもらい、それを使っただけで、これだけ電波が改善するものかと改めて思い知らされた」と述べた。
また、電波問題について、Wi-Fiスポットの設置状況を他社と比較して説明。ドコモが4万3,000、auが20万であるのに対し、同社では31万カ所と圧倒的に数的優位にあることをアピールした。
iPhone 5の登場とソフトバンクのLTE
続いて説明されたのがLTEについてだ。モバイルブロードバンドの本格展開が世界的に進む中でキーワードとなる次世代高速通信の「LTE」。iPhone 5の発売に合わせ、ソフトバンク、KDDIともにLTEサービスをスタートさせると発表したが、孫氏はKDDIと自社のLTEサービスを比較しながら、同サービスの現状と今後の展開について述べた。
孫氏はまず対応周波数は2GHzで、理論上の下り最大スピードも両社ともに75Mbpsになり両社ともに同じであるとし、ポイントとなるLTE対応エリアについて述べていった。KDDIでは2013年3月末までに人口カバー率96%達成を目標に掲げているが、孫氏はこの点について、同社がアピールする96%という数値は800MHz帯を含むものであって、これはiPhone 5では利用できない周波数となり、そのことから現状では未知数であると説明した。
その上で、ソフトバンクでは今年度末に91%の実人口カバー率を目標にすると公表した。また、免許を取得したLTE基地局数はソフトバンクが1万673であるのに対し、KDDIは4,516であるとし、孫氏は「iPhone 5のLTEサービスにおけるエリアの広さ、基地局の大きさ、電波の届く範囲はKDDIよりも先行している。そして基地局はもっともっと増やし、LTEのみならずプラチナバンド向けの基地局の建設も同時に進めていく」とアピールする。
3G回線においても、情報誌の調査などを引き合いに出しながら、優位に立っていることも解説し、ことあるごとにKDDIとの違いについて触れていった。KDDIへの宣戦布告であり、徹底抗戦の構えを示したといっても言い過ぎではないだろう。
ここまでの同氏の説明をまとめると、LTEサービスを開始するにあたって、「対応エリアが広い」「通信速度が速い」という2点を強調。だが、その2点にとどまらず、ソフトバンク版iPhone 5が当初、非対応とされたテザリングについて対応し、新たな料金プランで料金面でも優位に立つことを説明していったのである。それらの点については次ページで解説していこう。