――さて、『×××HOLiC』の収録当時のエピソードは何かありますか?
福山「これはいろいろなところでお話ししているのですが、水島監督、音響監督の若林さん、四月一日、モコナ、百目鬼、ひまわり、侑子を演じるキャスト、これ全員が"いて座"だったんですよ。そして、ゲストの半数以上もいて座。場合によっては、ゲストの2人が、僕と同じ誕生日ということもありまして、それは気持ち悪かったですよね。そういうこともありまして、今でもだいたいこの時期になりますと、合同誕生日会をやったりします」
――それだけの人の誕生日がおよそ1カ月の中におさまっていたということですね
福山「僕と中井さんなんか1日ちがいですから(笑)。ちなみに、その翌日は、キャラクターとしてのひまわりの誕生日だったりもします。そういった奇妙な繋がりがありましたね」
――それは何か面白いようで、何か気持ち悪いですね
福山「そうなんですよ。本当に奇妙な繋がりです。あとは、いらっしゃるゲストが皆さん本当に大御所の方ばかりで、僕たちは栄養ばかりもらっていた感じですね。ベテラン賛辞というわけではないのですが、やっぱり欲しくなるんですよ(笑)。最近では、現場の若返りもすごくて、なかなか僕たちが小さいころに一線級でやっていた方々とご一緒させていただく機会が本当に少なくなってきているんですよ。でも『×××HOLiC』では、毎回毎回、そういたベテランの方がいらっしゃって、そして喋りまくるわけですよ。僕たちが持っている当時の記憶、そしてそこから年数を重ねて培われた現在のワザ、そういったものをリアルタイムで感じながら、一緒にお芝居ができるというのは、僕たちにとってものすごい栄養なんですよね。何もおっしゃらないけれども、何か感じさせてくれる凄み。黙っていても感じさせてくれるのですから、これはもう楽ですよね」
――楽ですか?
福山「勉強しようなんて思わなくても、勉強になってしまうんですから。台詞の一つ一つから何か感じるものがある。本当に申し訳ないのですが、仕事をやりながら、ご褒美をいただいているといったことがたくさんありましたね」
――少し話は変わりますが、『×××HOLiC』の独特な絵柄についてはどのような印象をお持ちですか?
福山「最初に見たときは、これをアニメにするのは難しいだろうなって思いました。等身は高いし、手足も長くて細い。これフレームにおさめるのは大変な作業ではなかろうかと。動かすのはもっと難しいだろうって、本当に作画の人たちの心配をしました」
――『×××HOLiC』は、CLAMPさんの作品の中でも、かなり原作のイメージに近い仕上がりになっているのではないでしょうか?
福山「だから、(キャラクターデザイン・作画監督の)黄瀬さんをはじめ、プロダクションI.Gのスタッフはすげえなって思ってました。そのおかげで、フニャフニャした動きやツッコミをいれるときの動きがものすごくダイナミックになっているんですよね。普通の等身だったら何気ない動きなのに、それに反動や振りがついているように見える。もちろんそのように動かしているのだとは思いますが、手を振っているだけの動きでもすごく印象的なんですよ。すごく当たり前のようでありながら、そういったカットが目に焼きつく仕上がりには、本当に感服いたしましたっていう感じですね」
――そんな『×××HOLiC』がDVD-BOXとなって登場しましたが、まずはその感想をお願いします
福山「いろいろな意味で重たいですね。実際にズシっときますし(笑)。CLAMPさんの新しい画集でも出たのかと思ったらDVD-BOXで、とても豪華な装丁なのに、とってもリーズナブル。特典もものすごいじゃないですか。これはもう、キャストとしては本当にありがとうございますというしかないですね。こんな風に自分の演じた作品が綺麗な形で残せるというのは本当にうれしいことですし、まだ観たことがないという方にも自信を持ってお勧めできるDVD-BOXになっていると思います。僕自身、手元に届いたときは本当にうれしかったんですよ。このレベルが、15、6年前のOVAとほとんど同じの金額で買えるわけですからね」
――そう考えると非常にお買い得ですよね
福山「あの頃は、本当に2年がかりでお金を貯めて買ってましたから(笑)。劇場版のビデオなんて15,000~16,000円もしていましたし、OVAでも12,000円ぐらいしていましたよね。やっぱりVHSの時代は高かったですよ。それぐらいお買い得になっておりますので、携帯電話で使うお金をぜひこちらに回していただければうれしいです(笑)」