――カップリング曲として収録されている「regret」はいかがですか?
「自分名義のCDでは初めて作詞をさせていただいた曲なのですが、元々がWEBラジオの企画物だったので、最初のころはこんな風な仕上がりになるとは予想だにしていなかったです。出来上がるまでは、コミックソングみたいな感じになるのではないかと、勝手に想像していたんですよ(笑)。自分のラジオの中で使わせていただく曲で、生まれた経緯も、リスナーの皆さんとコンペして曲を選んで、テーマを決めてという、普通とはちがった作り方をしていたので、きっと面白おかしい曲になるんだろうなって思っていたのですが、意外や意外、完成してみたら、完全にガチ曲になったので、自分でもすごく気に入っています」
――完成までにここまで時間が掛かるとはスタッフも思っていなかったようですね
「もう誰も予想だにしていなかったですね。完成までに一年……、長かったですね(笑)。最初、候補に挙がった3曲の中からリスナーの皆さんに1曲を選んでもらったんですよ。1曲はものすごく明るい曲、1曲はRPGに使われるようなゲームっぽい曲、そしてもう1曲が今回の曲だったのですが、私はこの曲が選ばれると思っていなかったので、とても意外でした。今になってみれば、ソロではバラードを歌っていないので、皆さんもちょっと聴いてみたいと思ったのではないかと思うのですが、やはりちょっと意外でしたね。三択で募集した詞のテーマについても、曲を聴いた段階では"片想い"か"両想い"に決まるだろうと思っていたのに、なんと驚きの"失恋"が選ばれてしまい、『ちょっ!』とか思って(笑)。私は歌詞を書くときは、とにかく曲を聴きまくってから、一気に書きあげるタイプなのですが、聴いても聴いても"片想い"か"両想い"にしか聴こえない曲を、"失恋"で書くのってどうしたらいいんだろうって……。これは大変な作業が待ち受けているな、なんて思ったりしました。さらに投票してくださった皆さんの、明らかに『今井さんの失恋話を聞きたいな』みたいな野次馬根性が見え隠れしていたので、『お前らの策略になんか乗ってやるもんかー!』って駄々をこねた結果、時間が掛かってしまったという……。もちろん、それだけじゃないんですけどね(笑)。結局、曲のアレンジを失恋っぽいものに、少し物悲しくもあり、哀愁が漂いつつも、ちょっと爽やかな感じに変えていただいたら、するするっと世界が描けたので、『あ、こういうのも大事なんだな』って思いました。普段、皆さんは曲を聴くとき、その完成形しか聴かないと思うんですよ。その途中段階を聴けるというのはかなり珍しいことだと思うので、そういう意味でも、皆さんにとても楽しんでいただけたのではないかと思っています」
――作詞はやはり大変でしたか?
「構想一年、作詞半日? だったら早く書けっていわれたんですけど(笑)。私は歌を歌うときに頭の中に絵を描くってよくお話するのですが、作詞をするときも同じで、いろいろな絵を思い浮かべるんですよ。今回の場合は映画タッチで、映画のワンシーンのような雰囲気、8mmビデオを回しているイメージを、作詞に取り掛かるまでしばらくの間ずっと自分の頭の中で描いていたのですが、実際に筆をとって書きはじめたら、本当に速かったです。こういうものを書きたいというのが頭の中にきっちりとあって、それをただただ言葉にして、音楽に乗せていくだけという作業だったので、書き始めたら本当にささっと仕上がったのですが、やはりそれはずっと考えてきた映像のようなものが助けてくれたのだと思います」
――キーワードは"失恋"ということですが、何か書きたかったテーマのようなものはありますか?
「人との出会いって、恋愛だけじゃないと思うんですよ。でも、たまたま恋愛に発展してしまうと、別れがあるかもしれない。別れてしまったら、なかなか友達に戻って会いましょうというのも難しかったりする。そうなってしまうと、忘れてしまうか、過去のものにしてしまうか……、そういった人が多いのではないかと思うのですが、恋愛とか、恋愛以外の人間関係もひっくるめて、自分の生きてきた人生の中で、すれちがった人というのは、どんなときでも大切に思っていたいとか、好きな気持ちのままでいたい。そういった人としての穏やかさのようなものを描きたいと思ったんですよ。今回の詞は、別れてしまった後、いくらか時間が経っていると思うんですけど、それでもまだ好きだって言っているので、私の中では『未練たらたらソング』と呼んでいるのですが(笑)、それではちょっとカッコがつかなかったので、ちょっとカッコよく、"後悔"とか"未練"という意味を含んだ『regret』という言葉をタイトルに選びました。"後悔"や"未練"はあるけれど、そういうものを全部ひっくるめて、自分の人生だから愛していきたいし、別れてしまった相手の人にも、ヨリを戻したいとかじゃなく、大事に想っていてもいいですか、ときどき元気かなって思い出してもいいですかっていう、わりと前向きな感じの内容になっています。ちなみに私の中でのイメージでは、主演には広末涼子さんか永作博美さんにオファーを出している感じですね(笑)」