リコーの高級コンパクトデジタルカメラ「GRデジタル(DIGITAL)II」が11月22日に発売された。GRデジタルIIは、2005年に発売したGR DIGITALの後継モデル。28mm GRレンズ、マクロ撮影、レスポンスや操作性などの特長を引き継ぎつつ高画質化。新たに水準器機能やアスペクト比1:1モードを搭載するなど進化した。MYCOMジャーナルの「価格情報」での平均価格は7万5,000円程度になっている(11月22日現在)。このGRデジタルIIに触ることができたので紹介したいと思う。
初代GRデジタルと共通部分が多いデザインと操作性
GRデジタルII(以下、GR2)は、初代GRデジタルの後継モデルということだが、外観はパッと見て、初代GRとほとんど見分けがつかない。液晶モニターが2.5型から2.7型に拡大され、左面の「フラッシュオープンスイッチ」が追加された程度。よく見ると、モードダイヤルに「マイセッティングモード」があり、背面にファンクションボタンが追加されている。構想段階から初代GRと同じコンセプトで開発し、携帯性、高画質、スタイリング、拡張性は変えずに、"あくまでもGRはGRである"ということを追及したというが、ここまで徹底していると、メーカーのGRへの愛情が伝わってくる。
ハード面の進化では、撮像素子が1/1.8型から1/1.75型に大きくなり、有効画素数が813万画素から1001万画素に拡大された。画像処理エンジンは新しく「GRエンジンII」を採用し、高感度でのノイズ処理能力を向上させたという。レンズは、引き続き「28mm F2.4 GRレンズ」を採用している。
GR2の大きな進化としては、表現力の拡大のために「電子水準器」と「アスペクト比1:1モード」を搭載したことだろう。電子水準器は、一眼レフカメラではニコンのD3でも搭載されるがコンパクトカメラでは初の機能。広角撮影では水平がシビアになってくるのでこの機能はありがたい。アスペクト比1:1モードは同社の「GX100」にも搭載されていたが、GXではJPEG撮影のみだったのに対し、GR2ではRAW撮影にも対応した。この2つの機能については後ほど詳しく紹介したい。
操作性を高めるため、RAW書き込み速度を約3.8秒に短縮し、書込中にも撮影を可能にしたという。私は普段RAWでは撮影しないので、今回も「F3648(10M)」と「F1:1(7M)」で撮影するつもりだった。しかし切り替えを間違えてRAWモードにしてしまったらしく、しばらく気が付かないで撮影していた。きっと前モデルなら書き込みで待たされてすぐに気付いたはずだ。GR2のRAW撮影はJPEGとの同時記録になるので、すぐにメディアがいっぱいになってしまうはずだ。GR2には意外な落とし穴がある(笑)。
ホワイトバランスや画質などの調整機能を割り当てる「ADJ.(アジャスト)」レバーは、ボタン式からGX100と同様のレバー式に変更された。プッシュ操作で確定するので、レバーから指を離さず操作でき、スムーズに撮影できる。また、[JPEG←→RAW][カラー←→モノクロ][AEロック]などを切り替えるファンクションボタンが追加された。GRは"自分で設定して楽しむカメラ"なので、こういった自由度の広がる変更はとてもいいと思う。
標準ISO感度はISO80~1600で、最低感度は初代GRのISO64より若干上がっている。初代GR同様に、GR2も手ブレ補正機構は搭載していない。初代GRのISO64は、日陰や室内などは開放値でも手持ち撮影は難しかったので、多少でも感度が上がったのはありがたい。手ブレ補正機能について発表会では、「GRと同じデザインを優先すると搭載は難しかった」と開発担当者が話していた。GRユーザーの中には手ぶれ補正機能は必要ないと思う人も多いらしいが、個人的には何とか搭載してほしかった。
また消費電力を抑え、初代GRと同じバッテリー「DB-60」を採用しつつも、撮影可能枚数(CIPA規格)は250枚から370枚に増えている。露出をバラして撮影しても充分撮影に余裕がもてる。
GR2の左面(左)と初代GR DIGITAL(右)の比較。フラッシュオープンスイッチが追加された |
GR2の右面。サイズの変更はなく、107.0(W)×58.0(H)×25.0(D)mm。重量は168gと、2g軽くなった |
GR2の上面。レイアウトは同じだが、電源ボタンが緑色に発光するようになり、モードダイヤルには「マイセッティングモード」が追加された |
GR2の背面。21万画素2.5型液晶から23万画素2.7型液晶に拡張され、見やすさが向上 |