――『アメトーーク!』『ロンハー』という2つの番組で、意識して変えている部分というのはありますか?
これは誰か芸人さんに言われたんですけど、それぞれの現場の時で、顔が違うらしいんです。『アメトーーク!』は穏やかに楽しそうにやってるけど、『ロンハー』の時は悪い顔してるって(笑)。『ロンハー』は、ヤンチャというか毒というか、どこかそういう精神を持ってやってるんで、いたずらっ子の顔になってるのかもしれませんね。でも、年を取ってだんだん優しくなって、角が取れてきたんで、イタズラ心の精神はなくなっちゃいけないなとも思います。
あと、『アメトーーク!』の木曜は23時台なんで、ゴールデンの『ロンハー』と料理の仕方を変えてるというのはあるかもしれませんね。『アメトーーク!』はキャンプのカレーみたいに、粗さを残して、しっかり作り込まない感じ。『ロンハー』は、実は隠し味を仕込んでよく煮込んであったりとか、細かく作ってます。
――今後、こんな番組を企画してみたいという構想はありますか?
何個か企画書は出してるんですけど、いろんな会社の事情もあってなかなかやれなくて(笑)。でも、ネオバラ(23時台)で、もう1本やりたいですね。もうちょっと笑いに特化した、ふざけた番組。ある芸人さんでそれをやりたいなと思ってます。本当は、月曜から木曜まで、ネオバラ全部やりたいんですけどね(笑)
――ぜひ見たいです! やっぱり23時台はやりやすいですか?
僕の性に合ってるんだと思います。
――最近、テレビの規制が厳しくなってきたとよく言われますが、それに対してはどのように感じていますか?
それは、テレビに限らずですよね。学校の先生も大変だし、政治家も医者もメーカーも大変。もう時代だからしょうがないとは思ってます。ただ、視聴者も含めて自主規制みたいなことがあるじゃないですか。ハメを外して面白いことやったときに、視聴者が面白い面白くないの前にまず「これ大丈夫?」って思っちゃう。そんな時代に、誰がしたのか僕らがしたのか分かんないですけど、それだけは正直ちょっと邪魔かなっていうのはあります。でも、そう思わせないテクニックがあって、それができてない自分が悪いのかもしれないので、立ち向かって戦っていかないとと思ってます。
バラエティの終了はスポーツ選手の引退のよう
――これまでに加地さんが影響を受けたテレビ番組を1本挙げるとすると、何ですか?
やっぱり片岡飛鳥さんに影響を受けているので、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ)ですね。飛鳥さんの編集の仕方は革命だと思うんです。ツッコミテロップの入れ方や、そのテロップにSEがつくとか。音効の笠松(広司)さんが、僕と一緒にやってる栗田(勇児)の師匠なんですけど、演者の動きに分かるか分からないかくらいのナチュラルな感じで効果音を付けたり、ボケの声をエコーで飛ばしたのもあのチームが最初にやったこと。僕も無意識に飛鳥さんの真似をしてる部分があって、若い頃に似てると言われて『めちゃイケ』を見ないようにした時代もありました(笑)。僕がAD時代に、飛鳥さんに飲みの場でお会いして、基本を教わりもしました。
――そんな『めちゃイケ』ですが、来春での終了が発表されました。
自分は終了の理由など、詳しいことはわかりませんが、バラエティの歴史を作ったこと、僕のような多くのテレビマンに影響を与えたこと、そして、何と言っても多くの視聴者が『めちゃイケ』を見て元気をもらったり、ストレスを発散してきた。その事実だけは変わらないと思います。バラエティが終わる時はドラマなどと違って、番組が弱った時に終わるので、スポーツ選手の引退のように本当につらくて寂しいものなんです。
――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている"テレビ屋"をお伺いしたいのですが…
うち(テレビ朝日)なんですけど、『人生の楽園』。僕らバラエティの制作者は、間を詰めてしまいがちなので、あのゆっくりとした間の取り方とか、どういうノウハウがあるのか、単純に聞いてみたいです。僕も歳をとって、ゆっくりした番組が視聴者としては合うようになってきて、『人生の楽園』って気持ちいいんですよ。今、ゆっくりした企画をケンコバと(博多)華丸くんとやりたくて、自分がお笑いでやってるノウハウと融合させて、お昼とかで流したいんです(笑)。あと、どこがテッパンなのかも聞いてみたい。例えば『アナザースカイ』だったらハワイがテッパンだと思ってるんですよ(笑)。他の旅番組は箱根が強かったり、5月は房総に行ったりするけど、『人生の楽園』は実は信州が強かったりとかあるのかな…(笑)。土曜の夕方に今でも14%獲るなんて、すご過ぎます。