3つ目のテーマは「昭和のアイドル」。柏原芳恵、早見優と強烈な親衛隊のやり取りを紹介したあと、『ザ・トップテン』(日テレ系)の巨大すぎるセットが次々に映し出された。しっかり尺を取って河合奈保子、田原俊彦、近藤真彦など、さまざまなアイドルの歌唱シーンが見られたが、制作サイドとしては最もアーカイブが充実していて計算できるところなのだろう。

続いて、「無許可で撮った生写真を1枚150円で売る路面店」「ファンレターの送り先として雑誌に自宅の住所を掲載」「出身校や成績表の中身やゴミ袋の中身も掲載」が紹介されたあと、スタジオにレコードプレーヤーが登場。これを「Z世代が使えるのか」が実演されたほか、雑誌付録の定番だったソノシートも用意されるなど細部まで妥協がない。

4つ目のテーマ「昭和の恋愛」では、「花占い」「好きな子の家へ直接行く」「修学旅行の写真をこっそり購入」「セーラー服のスカーフをはみ出して恋人募集中の目印に」「ナンパ島の新島」「憧れの職業・ハウスマヌカン」をピックアップ。

5つ目のテーマ「昭和の婚活」では、「ビデオお見合い」「お見合い風呂」「上から目線のプロポーズ」「嫁入り道具」が紹介され、新沼謙治「嫁に来ないか」、さだまさし「関白宣言」の歌唱シーンが流れた。

さらに、昭和63年放送の『恋々!!ときめき倶楽部』(日テレ)をピックアップ。「ダウンタウンの本格的な東京進出後、初のレギュラー出演」「のちに仕事をする土屋敏男や菅賢治らも関わっていた」と言われる日テレとしては隠し球のような番組であり、昭和のテレビ好きをうならせるチョイスだった。

■最後に自局バラエティを選ぶ無難さ

残り1時間を切ったところで、川島明が進行役を務める「松本人志の大予言」がスタート。まず1999年の『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)で「携帯電話にカメラがついて芸能人が撮られる時代が来る」というコメントがピックアップされた。

続いて2002年の著書『プレイ坊主』に「暴走族を“珍走団”という呼び方に」と書いたら福岡市のポスターに採用されたことが紹介。さらに、松本自らAIBOの充電方法やリップクリームの形にも影響を与えたことを明かした。

続いて、松本が主演を務めた2000年のドラマ『伝説の教師』(日テレ系)が映され、中居正広とのアドリブ集や劇中のノーカット漫才を紹介。一方の浜田も、三谷幸喜が脚本を務めた1996年放送のドラマ『竜馬におまかせ!』(日テレ系)の映像が流された。これらはいずれも平成の出来事であり、昭和とは無関係。しかし、そんな制作サイドの強引さを感じさせないのは、ダウンタウンが時代の違いなどを無視できるほど突き抜けた存在だからかもしれない。

最後は「昭和のテレビ」というテーマに戻り、昭和50年開始の『目方でドーン!』、昭和48年放送の『火曜スペシャル 引田天功の脱出シリーズ』、昭和32年開始の『ミユキ野球教室』、昭和44年放送の『裏番組をぶっ飛ばせ!』、昭和49年開始の『カリキュラマシーン』を立て続けに放送。いずれもパンチの効いた日テレの番組であり、今の時代では考えられない破天荒さがあった。

これをオープニングでなく、最後に持ってきたのは、「自局の制作で批判を受けるリスクがあるため」なのだろうか。これらのアーカイブは日テレに限らず民放各局の武器だけに、Z世代が『カリキュラマシーン』を「あり6人」「なし4人」でジャッジしたことも含め、もっと前面に押し出してほしいと感じてしまった。