同人活動をつないだインターネットとPC
ちょっとここで、話がわき道にそれますがご容赦のほど。
ノートPCを入院先に持ち込んだ当初、その利用目的は先に述べたように「リハビリを兼ねたキーボードタイプの練習」でありました。その一環としてSNSやチャット、メールを介したメッセージのやり取りを重ねていくうちに、キーボードのタイプ速度が徐々に回復していったのもこの連載で紹介した通りです。
そうして、だんだんとノートPCを使えるようになってきた2021年3月半ば、それまでボードゲームデザイナーとして参加してきた「ゲームマーケット2021春」の開催時期がやってきました。
2020年12月に参加を申し込んでいた筆者は(出展料を振り込んだのが倒れる4日前というね)、当然ながら入院中で出展をあきらめていました。同人作家にとって即売イベントに参加できないことは結構な痛手です。
ところが筆者の窮状を知った知り合い(というか大変お世話になっていた大先輩の皆さん)が出展するブースで委託頒布をしていただけることになったのです。
自分の作品を頒布してもらえることになっただけでもありがたい話なのですが、その委託頒布に合わせて出展ブース先で自分の作品を紹介するPOPをAdobe Illustratorでデザインして印刷用のPDFデータをメールで送り、印刷して展示していただくなど、一連の作業を入院先に持ち込んでいたノートPCで対応できたことで、入院していながら即売イベントに参加したかのような気持ちになれたのです(これは本当にうれしかった)。
クラウドで日常とほぼ同等に“活動”できる
で、このPOPをデザインするために、これまで作成してきたボードゲームの「カバーデザイン」を利用することになりました。それらのなにげに膨大なボリュームのデザインデータを全てクラウドストレージに保存して、かつ、ノートPCのローカルストレージと同期してあったおかげで、入院先でもデザイン素材として再利用することが可能だったのです。
その後も2020年にデザインした「Operations Research for COVID-19」のルールブックと導入ガイドをブラッシュアップしてWebで公開したり、空母戦ボードウォーゲームの比較記事を執筆したりと、“入院中”に同人活動(遊び?)を継続できていましたが、そのときもクラウドストレージに保存してあったマニュアルやデータシートを利用できたからこそ可能だったのでした。
以上のように、あくまでも「病院の了解を得て主治医や看護スタッフの指示に従う」という条件下ではありますが、病気、または、けがの治療で入院していたとしても、ノートPCとモバイルデータ通信で容量十分なネットワークを用意できるなら、日常とほぼ同等に“活動”(それは仕事であれ趣味であれ)を継続できることを私は身をもって知ることができたのでありました。