もう一度立ち返って仕事を
――島田さんは、出演発表の際に「報道のあり方も厳しく問われるこの時代」とコメントしていましたよね。どんなところで、そのように感じますか?
島田:今は、あらゆる人がいろんな情報を入手できるし、一次情報も持っていますよね。そんな中で、自分たちが独自で仕入れてきた情報どれだけ出せるか、それに向かってどれくらい真摯(しんし)に向き合っているか、そういう記者の思いがあれば、小さなニュースでも視聴者の方にいつか伝わるものがあると思っているんです。それで、「他がやってるからうちもやらなきゃ」っていうのは、もう違ってきてるんじゃないかという意味で、そのようにコメントしました。それに、昔は、テレビの撮影というだけで集まってくれる時代もありましたけど、今は私たちの立ち居振る舞いが見られる時代です。今こそテレビマン、報道マンが、電波をあずかって放送しているということにもう一度立ち返って仕事をしていくべきだなというのが、最近思うことではありますね。
――倉田さんは、テレビ局を取り巻く報道のあり方について、どう考えていますか?
倉田:やはりテレビ局は数字(視聴率)を取らなければいけないと思うんです。スポーツの実況をやっていると、主役はアスリートの皆さんなのですが、どんなに中継で良い手応えがあっても数字が出ないと、われわれ制作陣は落ち込むんですよね。ニュースで数字を獲るというのはまた違った角度の話かもしれませんが、それを踏まえて、今起きている事象、事件、出来事が主役というニュースの場合、それを分かりやすくお伝えすること、そのアクセントになるのが役割だと思いますので、まずは自分は背伸びせず、分からないことがあれば正直に聞いていくという姿勢を持っていきたいと思います。
パンダのでんぐり返しにも興味持つ!?
――新番組で取り組んでいきたいテーマはありますか?
島田:反町さんがいらっしゃるということは、政治ネタに関しては安心して預けられると思うので、女性の視聴者も多い時間帯ですし、私は育児や介護など、より生活に密着したテーマに取り組んでいきたいと思います。
反町:イメージとして、島田さんは子育て世代の代弁者になると思いますよ。山尾志桜里さんが取り上げた「保育園落ちた日本死ね」までブチギレると怖いけど、そういう役割はあるんじゃなかな。
島田:そうですね。腹が立つとか悲しいとか、なにか感情をぶつけたいと思うような話題の時に、反町さんという、知識に裏付けされた、どっしり構える人がいるので、受け止めてもらえることはたくさんあるんじゃないかと思います。そうすると、こちらが言いっぱなしにならないので、それがこの番組の新しい挑戦なのかなと思います。
倉田:私の出身の長野県は、貯蓄率を含めてお金を持っている人が多いんですが、それを使わないんですね。だから最近、長野をもっと潤うような場所にできたらいいなと思うんです。例えば、国内のビッグアーティストがコンサートをやっても会場が埋まらないし、ゆるキャラを作っても若い人にはビビッドに反応しない。自分もそうなんですけど、みんな東京に憧れて出てきちゃうんです。でも、この年になると田舎の良さに気付いて、なぜ長野に強い魅力を感じられないんだろうと思うようになってきたんです。これは長野に限った問題ではないと思うので、追っていきたいテーマではありますね。
反町:へぇ、いい味出してるね。面白いと思うよ、この人。僕は、3月18日にロシア大統領選があって、9月に自民党総裁選があるから憲法改正は…って日程で見ちゃってるんで、1つ1つのニュースを追っていくしかないですね。そういうことしか考えない社歴できたので、なかなかそこからパンダのでんぐり返しに発想は行かないですよ。でも、そういうものにも興味を持たないといけないのかなと思いつつ…
――中国からのレンタル費用にいくらかかってるのかとか、外交関係を絡めたコメントはできるんじゃないですか?
反町:そうそうそう。そういう感覚で見ちゃいますからね。夢がないって言われちゃうんですけど、パンダなんて上野で大騒ぎしてるけど和歌山の方がたくさんいるし、あれは要するに二階(俊博)さんと中国の関係でもあるし、中国のパンダビジネスってのは何なんだっていうところ考えたりね。そういう話にすぐ行っちゃうのよ。夢も希望もないでしょ(笑)
島田:そんな話をしだしたら、だんだんマイクの音声が下げられると面白いですよね(笑)
反町:ちょっと待ってよ! それ、こっちが一生懸命しゃべってるのに放置プレイされる『時事放談』(TBS)の終わり方みたいじゃん(笑)
草野球のヒットと総理との応答における快感
――放送開始前からツッコミ合いが見事で、いいチームワークになりそうです(笑)。それでは最後に、皆さんが「プライム(極上)」に感じる時を教えてください。
倉田:未来の話ですが、私は万馬券を当てたときかもしれませんね(笑)。一生ないかもしれませんが…
反町:僕は草野球で、ピッチャーが投げてきたスライダーが曲がってくる軌道を読んで、振り抜いた球がセンターに低いライナーで抜けていく瞬間。あとで非常に美化されて頭に残るんですよね。それは番組でも同じで、安倍さんがBSに来て憲法改正の話を聞いた時に、「9条の改正で3項に自衛隊を明文化するというのは、形式的な話じゃないですか?」という質問に対して、「学者は立派なこと言えば褒められるけど、政治家は結果を出さなきゃいけない」と言ったんですよ。これが、僕の構えてたところにストンと入ってきた答えで、それは草野球での快感と一緒なんです。
島田:今、子供がかわいい盛りで、仕事から帰ると「おかえりー」って駆け寄ってくれたりして、すごく幸せなんですけど、大変さも結構あって、そこからお風呂入れて寝かしつけて、次の日の朝ご飯とか準備してると、深夜の1時ぐらいになるんです。そこで、ちょっといいワインを抜いて、買っておいた本を読みながら1人で飲んでいる瞬間って最高なんですよ! 働く自分と母である自分の切り替えができた日は、眠さはあるんですけど、とても充実していますね。