住宅ローンは「借りてしまえばそれで終わり」というわけではありません。ローン自体は大きな借金には違いないので、少しでもそのリスクを減らす必要があります。特に変動金利で借り入れた場合は、リスクを少なくするための日々の管理は欠かせません。

頭金を拠出しているため、手持ちの現金は少なくなっていると思います。節約して預貯金を増やしていきましょう。長めに借りて余裕のある月々の返済額と、本来返せる額の差額を別会計でプールしておいたものを繰り上げ返済するタイミングは慎重に考えてください。

現金はどんなことにも使えますが、繰り上げ返済してしまったら、表面的にはいったん使ったことになります。万一のための現金が十分に確保できたら、繰り上げ返済を検討ください。

年齢によっては、老後のための資産形成も併せて考えなければなりません。「預貯金」「繰り上げ返済」「将来に向けての投資」という3つのバランスをコントロールしていくことが重要なのです。

  • 「預貯金」「繰り上げ返済」「将来に向けての投資」という3つのバランスが重要

    「預貯金」「繰り上げ返済」「将来に向けての投資」という3つのバランスが重要

変動金利で借りたらリスク管理の徹底を

変動金利で借り入れたら、さらに詳細な日々の管理が必要です。下記の表は変動金利で借り入れた場合のリスク管理表です。たとえ金利が1.0%から2.5%に大幅に上昇しても、繰り上げ返済などを駆使してダメージを最小限で抑えられるようにする検討資料です。エクセルで簡単に計算式を作れますので、日々金利の変動をチェックし、繰り上げ返済のタイミングや固定金利に切り替えるタイミングを管理してください。

  • 変動金利で借り入れた場合のリスク管理表

    変動金利で借り入れた場合のリスク管理表

また、住まいの取得を考えるときや、繰り上げ返済の時期を見図るときには、ライフプランシートを作ってみてください。預貯金残高が少なくなったときが家計の危機です。

下図の場合、頭金を拠出した2020年の預金残高が少なくなっていて、大きな出費に対応できません。この時期をどう乗り越えるかの方策があればよいのです。今よりも節約して、残高を少しでも増やす対策もあらかじめ考えられるため、ライフプランシートをぜひ活用してみてください。

  • ライフプランシートの一例

    ライフプランシートの一例

■ 筆者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。