大学を卒業して就職し、がむしゃらに働いて20代を過ごした社会人も、30代に入ると転職や結婚、住宅購入など、人生のさまざまな転機を迎えることになるだろう。そういった意味で、30歳は一つの節目となる年齢といっても過言ではないが、「デキる30代」になるために知っておくべきことは意外と少なくない。

そこで本特集では、ファイナンシャルプランナーの佐藤章子氏に、30代を迎えるまでに最低限知っておきたいテーマの基本を解説してもらう。5回目となる今回のテーマは「住宅ローン」だ。

  • マイホームを購入するための住宅ローン、どのように借り入れるべき?(※写真と本文は関係ありません)

    マイホームを購入するための住宅ローン、どのように借り入れるべき?(※写真と本文は関係ありません)

30歳になって結婚をすれば、何年か後の子どもの就学に合わせて「そろそろマイホームの準備を」と考え始める方も多いでしょう。まだお子さんがいなくても、目標は早くから設定したほうが確実に資金もたまりやすくなります。住宅ローンの仕組みをよく把握して、早めに準備しておきたいものです。

本稿では住宅ローンの基礎として、基本的な考え方をまとめてみました。基礎をベースに、自分たちの生活設計に合わせてアレンジしてください。

ローンは若いときの借り入れがおすすめ

「頭金がいくら必要?」は、常に質問される住宅ローンに関する永遠のテーマです。旧住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の担当者の話によると、通常言われている「頭金2割」を用意した場合は破綻が少ないそうです。住宅金融支援機構では返済に窮した場合、返済期間を長く設定変更するなど、返済しやすくする措置があります。ただ、頭金を2割用意するとそういった相談に来るケースが少ないそうです。

そうはいっても、頭金が貯まるまでの間も家賃はどんどん消費されていきます。若い年齢であると、「子どもの教育費がかからない」「まだ若くて健康である」「親も現役の年齢であれば一時的に援助が期待できる」「早く返済が終わり、老後資金の準備にかかれる」などの利点も多いのです。

無理な計画は厳禁ですが、頭金が少ない点を他でカバーできるのであれば、ローンは若い間に借りた方が有利なことが多いのです。頭金2割を用意した場合に破綻が少ない理由は、目的に向かって着実に蓄財して行った「計画性」にあります。「頭金をいくら用意する」というよりも、しっかりした計画を持つことが大切だと覚えておきましょう。

「繰り上げ返済」で60歳までの完済を目指そう

実際にローンを組むとなった場合、月々返せる金額からすると25年や30年返済が可能であっても、35年目いっぱいの長期での借り入れをおすすめします。人生は先々どのような変化があるとも限りません。少し余裕のある返済計画の方がいいでしょう。

ただし、長期返済のまま継続すると総返済額が多くなりますし、完済する年齢が高くなってしまいます。本来月々返せる金額との差額は必ず別会計でプールして繰り上げ返済を行って、正社員としてゆとりのある給与がもらえる60歳までに完済してください。65歳まで働く時代ですが、給与は下がりますし、老後の準備も必要であるため、60歳までの完済を目指しましょう。