厚生労働省によると、介護が必要となる事態に至ってしまった主要因は以下の通りです。これらの介護が必要となる原因をできるだけ少なくする努力は、誰もができることです。

「禁煙」「健康診断の受診」「不健康な生活スタイルの改善」「正しい食生活」などで、リスクは低減できます。健康面に限らず、個人でできることはいろいろあるのです。

  • 介護が必要となる要因

    介護が必要となる要因

住まい選びを工夫する必要性

「年を取ったら住まいをバリアフリーに改造する」という考えは、現在広く浸透していると思います。しかし、簡単にバリアフリーに改造できるとは限りません。道路からの距離が短ければ、道路から玄関までゆったりとしたスロープが作れないでしょう。住戸内も、階段を使わずに1階だけで生活できる間取りになっていなければ、バリアフリーも簡単ではありません。

また、マンションもすべてがバリアフリーとは限りません。「道路や駐車場から車いすで玄関まで簡単に行けるか」「玄関から住戸までは簡単に行けるか」「共用廊下から住戸の玄関に入れるか」「住戸内はどうか」……etc. 老後も住み続けるマンションを買う場合は、こういった項目を完全にクリアできるかどうかを慎重にチェックする必要があります。

住む地域も大切です。高度成長期に若い世代の憧れであった街が、今や高齢化の波にさらされているケースも少なくありません。急なアップダウンでできている街は高齢者には住みづらいですし、私が以前にそのような街を調査した際には空き住戸が目立ちました。足腰が弱くなった際、病院やスーパーが負担に感じなくてもすむエリアにあるかどうかは重要です。

住まいの「財産」としての市場価値も重要です。老人ホームなどで自分が求めるサービスを受けようとすると、初期費用に数千万円かかる場合もあります。住まいを売却して資金を作れるかどうかも大切なポイントになってきます。

老後の人生に活かせるスキルの形成を

いつまでも元気で楽しんで働ければ、介護もいくらか遠ざかりますし、働いていれば生活資金も増えます。内閣府の「平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によると、仕事を続けたい理由として「仕事そのものが面白く、自分の活力となるから」について該当すると答えた人は、スウェーデンは54.4%、ドイツは48.9%に対して日本は16.9%にとどまっています。

年齢を重ねてから急に面白い仕事を見つけるのは難しいでしょう。若いときからの準備が大切ではないでしょうか。