今回、女性客はOさんに対して大声で怒鳴りつけてOさんを萎縮させ、退去させています。この行為には違法性が認められる可能性があるのでしょうか?

Oさんに対する女性客の犯罪

本件で、女性がOさんを怒鳴りつけたことについて、Oさんに対する犯罪は成立しないのでしょうか? ケースにもよりますが、今回のように「店で大声を出して怒鳴った」というだけでは犯罪は成立しないでしょう。

ただしOさんに対し、身体を傷つけたり、「財産を毀損したりするぞ」と脅した場合などには、「脅迫罪」(刑法第222条第1項)となりえます。たとえば「うちには暴力団の知り合いもいる。それ以上言うなら無事ですむと思うな」「暴力団の知り合いに頼んで自宅をめちゃくちゃにしてやる」などといったケースです。脅迫罪になった場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

店内で大声を出して他人を恫喝すると、発言内容次第で刑事事件になりかねませんので、注意しましょう。

Oさんの女性に対する損害賠償請求について

今回Oさんは女性に対し、損害賠償請求できないのでしょうか? 単に店内で大声を出されたというだけではOさんに損害が発生しないので慰謝料などの請求は困難です。ただ、脅迫罪が成立するケースでは、慰謝料請求できる可能性があります。

店に対する犯罪について

原則として、店に対する犯罪も成立しません。ただ、この女性が「連日、開店から閉店まで店に来店し、マッサージチェアを独占使用していまい、店側の退店要請にも応じない客であった場合」などであって、さらに今回、「0さんとトラブルになっていた」のであれば、この女性は店に対する不退去罪(刑法第130条後段)になりえます。不退去罪になった場合、3年以下の懲役、または10万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

いくら店がマッサージチェアのお試し利用を認めているからといっても、あまり長時間居座ると他の客とのトラブルが発生する可能性が高くなります。どういった場所でもTPOをわきまえて、モラルを持った行動をとっていきたいところです。今回のトラブルを参考に、今後注意してみてください。

※記事内で紹介しているストーリーはフィクションです

※写真と本文は関係ありません