レンタルDVDを友人に勝手に又貸しするのは違法なのでしょうか? 以下でどのような問題が起こりうるのか、法律的な視点からみていきましょう。

DVDのレンタル契約は、店との「賃貸借契約」

まずDVDをレンタルした場合、法律上はどういった種類の契約となるのか理解しましょう。契約の種類によって又貸しの効果も変わってくるからです。

DVDのレンタル契約は、法律上の「賃貸借契約」です。賃貸借契約とは「有償で人に物を貸すこと」を目的とする契約です。ある人が物を相手に貸し、借りた人は賃料として相手にお金を支払う場合、賃貸借契約となります。一般には「賃貸借契約」というとマンションやアパートなどの不動産のイメージが強くなっていますが、不動産以外を目的とした場合にも賃貸借契約は成立します。

レンタルDVDの場合、利用者はお店から「DVD」という物を借ります。またDVDの賃料として数百円を支払うので、「有償で」DVDを借りているといえ、賃貸借契約が成立します。

賃貸借契約で禁止される「無断転貸」

それでは賃貸借契約において、対象物の「又貸し」は許されるのでしょうか? 実は賃貸借契約のルールを定めている「民法」において、対象物の「無断転貸」は禁止されています。 転貸とは、法律用語で「又貸し」のことです。つまり民法は「賃借人が賃貸人に無断で借りた物を又貸しすること」を禁止しています。

民法612条

1 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

対象物がDVDであっても、利用者は賃貸人であるお店に無断で友人などの第三者にDVDを又貸しすることは法律上認められません。

無断転貸が禁止される理由

なぜ、賃貸借契約において無断転貸が禁止されているのでしょうか? それは、賃貸借契約が一般的に、「お互いの信頼関係」を前提とするからです。賃貸借契約は売買契約などとは異なり、物を相手に渡したら終わり、というものではありません。賃借人が一定期間使用収益することが予定されています。また使用収益が終わったら対象物は賃貸人へと返還されます。

このとき、賃貸人にとっては「借り主が誰か」が非常に重要となります。 きちんと使って後で期限内に返してくれる人だと思い、信頼したから大切なものを貸して使わせているからです。「相手が誰でもよい」というわけにはありません。

ところが知らない間に別の人に転貸(又貸し)されてしまったら、転借人が期待したように物をきれいに使ってくれるかどうかわかりませんし、きちんと返却してくれる保証もありません。そこで賃貸借契約においては賃貸人に無断での転貸が禁止されるのです。この理屈はDVDレンタルにもあてはまります。DVDのレンタル契約も賃貸借契約ですので、民法上、無断転貸は禁止されます。

無断転貸のリスクについて

では法律に違反して無断転貸が行われた場合、民法上、どのようなリスクがあるのでしょうか? 民法は無断転貸が行われた場合、「賃貸人は契約を解除できる」と定めています。

判例によれば、すべての無断転貸で解除が認められるわけではなく、賃借人による無断転貸が賃貸人への「背信的行為」となれば、賃貸人は賃貸借契約を解除し、物の返還を求めることが可能です。また損傷などの損害が発生していたら、債務不履行や不法行為に基づく損害賠償請求も可能です。