(4)お見送りのマナー

お客さまへの応対の最後を締めくくるのが、お見送り時のマナーです。快くお帰りいただけるよう、礼を尽くしてお見送りすることが大切です。

お客さまを見送る場所は、部屋の外、エレベーター前、玄関先など、相手との関係や状況によって違います。

<部屋の外で見送る場合>

お互いにある程度親密である場合、お客さまと同等の立場である場合は、会合を行った部屋の外で見送りするケースもあります。丁寧に挨拶をし、

「こちらで失礼いたします」

と深くお辞儀をしてお見送りしましょう。

<エレベーターの前で見送る場合>

  • エレベーターの前で見送る場合

    エレベーターの前で見送る場合

エレベーターホールまで案内し、△▽の上下ボタンを担当者が押してエレベーターを待ちます。エレベーターが到着したら、

「本日はありがとうございました」
「こちらで、失礼いたします」

と挨拶をし、お客さまが乗り込むのを確認します。エレベーターのドアが完全に閉まりきるまで、もう少し言えばエレベーターが動く音がするまで、深くお辞儀をして、見送ります。

<玄関先で見送る場合>

  • 玄関先で見送る場合

    玄関先で見送る場合

目上の相手や初めて来社した相手を見送る場合は

「玄関までお送りします」

と言ってロビーもしくは玄関の外までお見送りします

訪問時のマナーでお伝えしたように、コートを脱ぐ場所は社屋に入る前であり、従ってコートを着用するのも社屋の外に出てから身に付けるのが基本です。おそらくそういったマナーを心得ているお客さまは、どんなに寒くてもコートを着用せずに玄関をに向かうに違いありません。そのようなときは、コートを手にかけたまま外に出ようとするお客さまに

「お寒いですからどうぞこちらでお召しになってください」

と声をかける心づかいを持って「一歩上をいく接客応対」をしていただきたいと思います。

お客さまが徒歩でお帰りになる場合も、ご自身の車やタクシーでお帰りになる場合も、お客さまの姿が見えなくなるまでお見送りします。

マナーを心得ているお客さまは、社屋を出て最初の角で振り向いて一礼する方がいらっしゃいます。そのときに訪問先の担当者がきちんと立てって見送ってくれていると、とても誠実な印象を受けるものです。


このようなコート着用を促す言葉掛けや、見送る側、見送られる側のお辞儀など、他社を訪問するときのマナー、来客をお迎えするときのマナー、その双方を理解できてこそ円滑なコミュニケーションがはかれます。相互方向への心づかいと言葉がけをして、気持ちよく訪問・接待ができるように心掛けていきましょう。

来客応対時のマナーにはこのような様々なポイントがありますが、基本を分かった上で、お客さまに合わせて臨機応変に対応していくことが大切です。こうした相手の立場に立った誠意ある対応でお客さまに満足感を与えて、人と人、会社と会社のさらに良好な関係を築いていただきたいと思います。

挿絵 : 木内はな実