<お茶を出す順番>

お茶を出す順番はお客さまの上位者からが基本です。 上位者が分からないときは、最上席にお座りになっている方から順番にお出しします。そのためにも会議室や応接室における「席次のマナー」お客さまに出し終えたら、社内の上位者から出します。

<お茶の接待のポイント>

  • お菓子は左、お茶・コーヒーは右に

    お菓子は左、お茶・コーヒーは右に

・茶碗に絵柄がある場合は、絵柄がお客さまから見て正面になるよう配慮して出します。

・茶托に木目がある場合は、木目がお客さまに対して横向きになるように置きます。

・テーブルの上の書類を濡らさないように書類を避けてお茶を置きます。

・テーブルに書類が広がっていてお茶を置くスペースがないからといって、勝手に書類を動かしてはいけません。必ず自社の担当者に

「お茶はどちらにお置きしましょうか」

と伺い、指示に従いましょう。

・お茶だけではなくお菓子も出すときは、先にお菓子を出してからお茶を差し出します。その位置はご飯とお味噌汁の位置と同じと覚えてください。食べるものであるお菓子(ご飯)が左で、飲むものであるお茶(味噌汁)が右です。

(2)出されたお茶のいただき方

今回のビジネスマナー道は、お茶の出し方のみならず、訪問者がお茶をいただく際のマナーについてもご紹介したいと思います。

先にもお伝えしたように、お茶はお客さまにくつろいでいただきたいというおもてなしの心がこめられたものですから、せっかく出していただいたお茶はひと口でも口を付けるのがマナーです。

ただし、お茶を出されたら、何も言わずに頂戴するようなことはせず、ひと言

「頂戴いたします」
「いただきます」

などの挨拶をしてから口に運びます。 そして

(1)左手を茶托に添え、右手で蓋のつまみを持ちます。

(2)蓋のしずくが湯のみの中に入るようにゆっくりと蓋を立てて「露切り」をします。

ではその蓋をどのようにテーブル上に置けば良いでしょうか。

A : 蓋をそのままテーブル上に置いてしまうと、水滴で蓋のかたちの輪っかをテーブルに付けてしまうことになります。
B: 蓋をそのまま茶托に立てかけて置いても、やはり水滴がテーブルに落ちてしまう可能性があります。
C : 蓋を裏返して、テーブル上に置くと、つまみがあるのでゴロンゴロンと不安定になります。
D : そこで正解なのが、蓋を裏返して、茶托の下に挟むという方法です。

(3)蓋を裏返す、つまり蓋の裏を上向きにして、右手で茶托の右側下方に差し込むわけです。これによって、蓋が安定しますので、とてもスマートな印象を与えます。

  • お茶のいただき方の手順

    お茶のいただき方の手順

(4)その上で、お茶をいただくときは、左手を茶托に添えながら、湯のみを右手で取り、左手を底に添えて両手でいただきます。

日本茶は両手でいただくのがマナーですが、後ほどお伝えするコーヒー・紅茶のカップは片手で持つのがマナーです。

(5)お茶を飲み終えたとき、あるいは部屋を退室するときは、出されたときと同じように蓋を元通りにします。

余談ですが、蓋の取り扱い方ということで言うと、吸い物・味噌汁・丼ものなどの蓋を、食べ終わるとひっくり返して椀の上に置く人が多くいます。しかしこれは不作法です。

お店のスタッフの方に食べ終わったことを知らせるために裏返して置くのだという人がいますが、漆(うるし)など、椀の模様を傷付けてしまう原因になります。食べ終わったら蓋は裏返したり斜めにかぶせたりせず、出されたときと同じ状態にして椀に載せましょう。

(3)コーヒーの出し方とマナー

会議や打ち合わせが長引いたときに、お茶に代わる2つ目の飲み物として、コーヒーをお出しするのも素敵な心づかいになります。コーヒーには、議論によって渇いた喉を潤す水分補給の他に、気分転換や、カフェインによって脳を活性化する意味もあります。

ではお客さまにコーヒーや紅茶を出す場合には、どのような配慮が必要でしょうか。

<コーヒーカップの持ち手の位置>

コーヒーカップをセッティングするとき、持ち手を右側にするか、左側にするかは諸説ありますが、右と左、どちらが良いとか悪いとかいうことはありません。

出されてすぐに飲めるように持ち手を右に向けて出すのが、ブラックで飲むことが多い「アメリカ式」です。ブラックで飲むのであればスプーンを使う必要がないので、右手ですぐに飲めるように右側に持ち手がくるように置くわけで、ある意味アメリカらしい合理的なセッティングといえます。

反対に、砂糖やミルクを入れ、右手でスプーンを使ってかき混ぜる際、左手で持ち手をつまむために、持ち手を左側に向けて出すのがイギリス式です。イギリス式は、左手で持ち手を軽く押さえ、右手で砂糖やミルクを入れてスプーンで混ぜるのに適しており、行儀作法を重んじるイギリスらしい置き方です。いただくときは、右手に持ち手を替え、ソーサーの上で右向きに半回転させてから持ち上げます。

  • イギリス式とアメリカ式のコーヒーカップの置き方

    イギリス式とアメリカ式のコーヒーカップの置き方

現在の日本では、高級ホテルやレストラン、飛行機の機内においても、カップの持ち手を右側にしてセットするのが主流です。どちらにするにしても統一することが大切。複数の人にお出しする際に、ある人は持ち手が右側、隣の人は持ち手が左側、とバラバラにならないよう注意しましょう。

ただし、コーヒーカップにワンポイントや柄が入っている場合は、その絵がお客さまの正面にくるようにして出します。

また、お茶のいただき方でお伝えしましたが、お茶碗でお茶をいただくときは両手で、コーヒーカップでコーヒーや紅茶をいただくときは片手で持つのがマナーです。コーヒーカップを持ち上げた際には、左手を添えるようなことはしないように気を付けましょう。

<砂糖・ミルク・スプーンの載せ方>

  • 砂糖・ミルク・スプーンの載せ方

    砂糖・ミルク・スプーンの載せ方

コーヒーにミルクやお砂糖、スプーンをお付けする場合は、ソーサーの上に置きます。

スプーンは持ち手が右側になるように、なおかつカップの手前に置きます。砂糖はスティックタイプであれば、スプーンに沿わせて置きます。角砂糖やポーションのミルクはスプーンの左側に置きます。