(9)挨拶前の3つのマナー

  • 自分のバッグは必ず足元やソファの横、床面に置きましょう

約束した相手が入室してくる前のマナーとして大切なことが3つあります。

■自分のバッグを空いている隣席の上に置かないこと

応接セットの椅子やテーブルの上に、外から持ち込んだ自分のバッグを置くのは失礼です。必ず足元やソファの横、床面に置きましょう。ただし「よろしければ隣の席をお使いください」などと勧められた場合には無下に断ることなく、遠慮なく隣の席に置いて結構です。

■挨拶前に書類などをバックから出さないこと

先方とお会いして、挨拶、名刺交換が終わるまでは、筆記用具や書類をバッグから出さないのがマナーです。すぐに書類の説明ができるようにと、相手への配慮のつもりで、入室してすぐに書類をテーブル上に出す人がいますが、それは失礼な行動です。名刺入れだけを手にして、先方の入室を待つようにしましょう。

■相手が入ってくる気配を感じたら立ち上がること

着席してお待ちしているときに、相手が入ってくる気配を感じたら、すぐに立ち上がります。挨拶や名刺交換が終わってから着席、書類をバッグから出す、の順番になります。

(10)挨拶と名刺交換のマナー

先方との挨拶については、名刺交換から始まるところもあれば、外資系の会社など握手で始まるところもあります。

どちらの場合でも、スーツのボタンマナーは大切です。応接室に通されて座っているときは外していても、先方が入ってくる気配を感じたらすぐに立ち上がって一番下以外のボタンを留めます。挨拶や名刺交換を終えて、先方から着席を促されたらジャケットのボタンを外して着席します。そして会合が終わって立ち上がるときにまた一番下以外のボタンを留める、というのがビジネスマンとしてのボタンマナーになります。

名刺交換にも様々なマナーがあります。訪問者から先に差し出す、テーブル越しには行わないなど細かいビジネスマナーに配慮して、会社の代表としての自覚を持った挨拶をしましょう。

(11)退室時のマナー

応接室、会議室を出て見送りを受ける際は、エレベーターの前などで

「こちらで失礼いたします」 と申し出るのがマナーですが、それでも先方が玄関先まで見送るとおっしゃった場合は厚意を受けます。

またコート、マフラー、手袋などは訪問時と同様、建物内では着用しません。必ず社屋の外に出てから身につけるのが基本です。ただこの場合も、

「お寒いですからこちらでお召しください」

と勧められた場合には、

「ありがとうございます。それではお言葉に甘えて」

と恐縮しながら着用して構いません。

このような訪問先に向けての配慮や、来客を迎える際の配慮は、相互方向への心づかいから成り立ちます。円滑なコミュニケーションにより、気持ちよく訪問・接待ができるというものです。そのための「言葉がけ」を大切にしていきましょう。

(12)自社の上司に対する配慮

新社会人として配慮すべきなのは、訪問する先方に向けてだけではありません。上司とともに訪問する際には、先方の応接室・会議室において、上司や先輩から入退室していただくのがマナーです。また往路・帰路において、タクシーの席次を考えたり、帰社後の御礼や挨拶も怠ってはなりません。

相手先に対するマナーも大切ですが、自社の上司や先輩に対しての心づかいもできるような「できる新社会人」になっていただきたいと思います。