その後、2013年放送の『八重の桜』で綾瀬はるか扮する主人公・八重の幼少期を演じ、注目を集めた鈴木だが、当時は「これに受からなかったら辞めよう」という覚悟でオーディションに参加したという。
「5歳の時に始めてから2年ぐらい経っていて、私は辞めたくなかったのですが、母から『この作品に受からなかったら辞めるぐらいの覚悟で挑んできなさい』と言われて、そこで受かってなかったら辞めていたと思います。合格した時は、まだ続けていいんだといううれしさと、これからお芝居をもっと頑張っていかないといけないという覚悟を決めた瞬間でした」
鈴木にとって人生の岐路となった『八重の桜』。一生懸命撮影に挑み、成長を実感できたという。
「常に草履を履いて撮影していたので、脚が傷だらけになりながら、ぬかるんだ道を何度も走ったり、うまくできなくて泣いてしまうこともたくさんありましたが、そのひとつひとつの経験が今の自分を作った大切な過程だと感じています」
西郷頼母を演じた西田敏行さんの優しさが伝わるエピソードも明かしてくれた。
「木登りをして(西郷頼母に)怒られるシーンがあったのですが、本当に怒られている気持ちになってしまっていたら、西田敏行さんが待ち時間の時やシーンが終わった後にも変顔をして笑わせてくださったり、たくさん声をかけてくださり、緊張をほぐしてくださいました。私もそんな風に人としても俳優としても尊敬できるような役者になれるようしっかりと歩んでいきたいです」
また、監督からクランクアップの時にかけてもらった言葉をずっと大事にしているという。
「『長く続けていくと最初の気持ちを忘れがちになることがあると思うけど、初心を忘れないでほしい』と言っていただいて、それは今でも意識しています。演じられる喜びや、撮影現場にはたくさんのスタッフさんがいて、1人の力だけでは成立しないということも『八重の桜』で感じ、そういった最初の気持ちをこれからも忘れないようにしたいです」
2014年には、芸能界入りのきっかけとなった芦田愛菜と日本テレビ系ドラマ『明日、ママがいない』で初共演。それからまもなく11年経つが、芦田が自身にとってどういう存在か尋ねると「憧れの気持ちはずっと変わりません」と答えた。
「同い年でありながら、常に自分の先を走っている先輩。今の自分がいるのは本当に愛菜ちゃんのおかげで、愛菜ちゃんの作品を見てなかったら自分はどうなっていたんだろうと考えることもありますが、それは想像できないです」